【伊/東/歌/詞/太/郎】 秘 蜜 。【学/パ/ロ】

※あのね、先生。※ (微) ページ21

先生は唇に軽くキスしたあと、喉元に滑らすみたいに唇を合わせた。


くすぐったくなって首をすくめると、手首と腕とを掴まれて 我慢して って囁かれる。

う、嫉妬させた私が悪いのか……。これは終わるまで動かないが吉なパターンだ…すごく恥ずかしいけど。


吐息すらくすぐったくて頷く。それをみた歌詞太郎先生は微笑して、ほっぺを撫でた。



首筋に唇を押し当てられる。硬直した背中に引き締まった腕が回った。


額に唇が降る。腰辺りで先生の腕がゆるく絡んだ。



その中で、真っ赤なまま小さく震えるだけの自分。











……一瞬だけ。
この中にいれば この人がずっと守ってくれる気がした。













………最後 また唇が何度か重なって、歌詞太郎先生はキスをやめた。







「かし、たろ、せんせ」

「……顔、まっか」




ふっ、と悪戯っぽく含み笑いをした顔を 羞恥心で睨みつける。


それが先生をさらに喜ばせたようで、あははっと声をあげて笑う先生。


いい性格してるな、と苦く思う反面、目の前の相手を恨めしく思えないことに気づく。

前なんて理由もなく恨めしく思う奴、いっぱいいたのに……。いや今はそんなことないけど！


…やっぱり、先生がいてくれたから？
答えを見つけようとすると、先生が頭をちらつく。あの日、“転んだ女の子”を視ていた目は今、“A”を視てくれてる。

本心に触れるなんてめんどくさいことするの、この人ぐらいかなーなんて思ってたけど、どうやら誰にでもやってるわけでもなくて。


全部省略して正直に言えば、私はこの人が結構好きで信じてるんだなってなる。


先生はちょっとよく分かんないけど……せめて、生徒ではいちばん好きって思ってもらいたい。



　
想ってもらうために、先生の喜ぶことをする。
先生が好きになってくれるように努力する。

きっと、歌詞太郎先生はその努力を見過ごしたりしないもんね。


先生が好きなこと。
酷いこというみたいだけど、嫌いなことなら上原さんと下岡さんを見てれば分かるし。

いまから気を付けて行動してみよう。ありのままを好きになってくれるのなんてほんの一握りだ。あの子達みたいに思われるのは、……ちょっとね。




そこまで考えて、あってなった。



努力しただけ見てもらえる。好きって思ってもらえる。行動に文字通り一喜一憂して、葛藤して。


















……恋するの、たのしい…。

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