【伊/東/歌/詞/太/郎】 秘 蜜 。【学/パ/ロ】

あの、先生。 ページ3

「おはー」
「おはよー藍音！」
「おはよう！ねーきいてきいて！昨日……」


後日、すこし捻ってしまったらしい足首を気にしながら登校してきた。

まだ準備期間だから、授業はほぼない。

入学式の次の日、だから……昨日できなかった自己紹介とか、担任の発表かな。





普通は入学式の時点でやるんだろうけど…、

昨日、校長先生が予定の都合で早く貼り出した担任表が、予想外の雨にさらされしわしわになってしまったらしい。



事前データも半分で止まっていて、今日はできそうにないと事実説明と謝罪があったから別に私は気にしてないけど。


どうせ知ることだもん。あとに知るか先に知るかの違い。
いいって評判の先生はたしかにいるらしいけど、大体誰が先生でも、どの問題も私は蚊帳の外。


つまり……無関係。




い じめとかだって、これまで軽くても多少はあったけど…私は、関わるどころか事実さえ知らずに起こっていて、それを知ったころには解決していた。





「それやば！藍音うけるー！」
「笑い事じゃなーい！」


あはは、と一際大きな声で騒ぐグループの中心、藍音と呼ばれた少女は自らのショートカットの髪をいじりながら話している。



　


天野、という苗字なので教室の端っこに配置された席は、その気になれば皆から隔離もできそうな場所。









もうすでに、心は隔離されているけど。





　






　





　
それが形になっちゃうのはいつかな。
また中学の二の舞かな。
次に傷つけられるのはいつだろう。





　






___、いけない。マイナス、だめ。







嫌な思考を振り払って、特にやることもないから机の木目に目を落とす。








そんなタイミングで、ガラガラと音をたてて
教室の前のドアが開いた。





　






　


「……！！ぁ…」


「！」




　







薄く漏れた言葉は、残念ながら相手の耳に届いてしまったらしく。







　






　




　



昨日、私を助けようとしてくれたその人が、私という“女の子”を見て、すこしだけ目を見開いた。





　





「え！？いけめん！」
「うわ、できそー」



固まる私に反して、それぞれの意見の称賛、称賛、称賛を口にする周囲。









(……あ、これか、表面上の評価…)



本で読んだ言葉。

多分彼らは、今はいている言葉に願ってもない不甲斐なさを感じて、たとえ自分がこの人を嫌いになっても称賛を騙る。






　





そんなの、普通なのに



自分は偉いと勘違いして。

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