【伊/東/歌/詞/太/郎】 秘 蜜 。【学/パ/ロ】

あの、“クプラ”先生。 ページ14

「失礼します」

「！？びっくりした……天野さんだよね、どっか悪い？」



退屈そうにしてた先生はあわてて読んでいたマンガを隠しながら、いつも胡散臭いなと思ってた笑顔で訊いてきた。


「えっと……“私も一人なの”」


そらる先生に、保健室に入ったらまずそう言えと言われた言葉。

それを言ったとたん、先生は持っていたマンガを隠すのをやめて口角を下げた。

素の表情を見せる先生は初めてみるもので……なんか、新鮮な感じがする。




「…目的は？僕？」

「“同じ境遇の友達がほしい”」


「…嘘、目的は僕だな」

「生まれてから嘘ついたことなかった。なんで私がこんな目に…でも、他の人にこうなってほしいとも思えない」




「……そらる先生か。……仕方ないから会わせてあげる、感謝しなよこの美しい僕に」



「はいはいありがとうございます




　クプラくん」




そう、保健室の先生はクプラ先生。

理数系なのに、カウンセリングもしている人。聞きなれていないのと親近感を持ってもらいたいのとで、“くん”と呼んでほしいと始業式の日に聞いた。



「つれない女の子ばっかだなぁ、その点佑実ちゃんは可愛い子ってなっちゃうよ？」



「……人それぞれですから、別に…」



歌詞太郎先生は下岡さんたちよりは私のことましだと思ってくれてるはずだし、それはきっと変わらないと思う。


でもこの人は可愛い子好きだし、下岡佑実ちゃんなんてどんぴしゃっぽいもんな。


「佑実ちゃんや藍音ちゃんが好きなのは歌詞さんだけど、その歌詞さんに好かれてるのは君、か……まぁ、複雑な方が面白い」


「！？ な、なんで」

「僕の情報網に引っかからないのは国家機密(トップシークレット)くらいさ！

　あ、心配しないで僕も３年のふぁっきゅんとそういう関係１歩手前だから」


「…あるふぁ先輩…」


明るく気さくで強く可愛い あるふぁ先輩。
彼氏を作らないとは聞いてたけど、まさかこんなとこにいたとは……


「だから困ったことがあったら僕のもとに来るんだ。恋愛相談ならのってあげなくもない」



ふ、とカッコつけるクプラ先生。

真顔で見ると、保健室を出ていこうと立ち上がってしまった。



「え、先生っ」

「生徒間のことには関与したくないから僕は出てくけど、じきにくるはずだから心配ないよ」


頑張れ、平凡女子。と励まして(？)クプラくんは出ていってしまった。






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