せぶんてぃーん ページ22
あーあ、見られてしまいましたか。
今日くらいしか会わない方たちだから。
あまり会うことのない方たちだから。
身分が違う方たちだから。
そう思ったのは何故でしたっけ。
バレないだろう、とあぐらをかいていたのだ。
車椅子という事で気を使わせていたのに、さらに気を使わせてしまった。
話さなくてごめんなさい。
ゾム様に抱えられながら考える。
話しておいた方が絶対に、遥かに良かっただろう。
こんな時、すぐに謝ることやフォローをすることが出来ないのは不便だ。
口がきけないというのはこういう事を示すのだろう。
やはり僕は事の重大さを理解できていなかったのだと改めて思い知らされる。
涙が出そうになった。
駄目だ、僕が泣くなんて。お門違いすぎる。
泣く理由なんて無い。
...なんで泣きたくなったのかは僕も分からない。
zm「着いたで。...ほんまごめんなぁ。あんなに嫌がってたんに。ちゃんと拒否してくれてたんに。」
そう言って僕をベッドまで運んでくれた。
顔はフードに隠れ、覗き込もうとしたがランプの灯りで逆光になり、やはり見えなかった。
僕は急いでスケッチブックを出してインクが掠れるほど強く紙に書いた。
『いいえ。仕方のない事です。それにゾム様は悪くありません。僕が話していなかったのがいけないのです。』
zm「でも、」
『大丈夫。僕はこの生活を3年ほど続けています。何か言われたり、不便があるのはわかっています。それなのに僕が自分から言わなかったから。』
shp「Aさんはα国の宮廷音楽師だったと聞きました。俺が幹部になる前から。...足が無いのって、本当に事故なんすか。」
em「ショ...くん、そ...はあまりにも失礼...す。」
エーミール様が何か言っていたが、耳には全く入らなかった。
...これはどう返すのが正解なんだ？
分からない。僕には分からない。
思わずペンを持つ手が止まる。
何だかこのとても綺麗で豪華な造りの客室が、α国の王室に見えだして。
目が霞んできた。
あれ、どうして僕こんなに息が荒くなってるの。
手が震えて。どうして？
あ、ペン落としちゃった。拾わなくちゃ＿___
そう思った瞬間、僕の意識は無くなった。
えいてぃーん zm side→←しっくすてぃーん em side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nanaki(プロフ) - ノエルさん» 完結させて頂いた！！コメントありがとうございます！ノエルさんのその一言が次の作品を書く意欲につながります！ (2019年11月17日 23時) (
レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - なみだめさん» おめでとうコメントをありがとう！なみだめさんを楽しませることができて嬉しい！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - mo4さん» mo4さんのコメントで更新頑張れました！読んで頂けたうえに面白いと言っていただけて幸せです。ありがとうございます！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - あめさんさん» しっかり読んでくれてありがとうございます！命令系敬語がすき...同士ですね！？いやこれ同士だわ。(確信)次の作品ももし良ければ読みやがれ下さい！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - yukinaさん» ありがっと！次の作品もよろしくです！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Nanaki | 作成日時：2019年11月2日 2時
