76話 私の前では ページ32
「「「失礼しました...」」」
俺達4人は職員室から出る。
Aの言っていたことは明らかに違っていた。
俺は先生に反論しようと考えたが、でも、やめた。
多分だけど、Aは俺も含めて、坂木達を許そうとしたんだろう。
だから今は、Aが望んでいることを尊重しようと思ったのだ。
廊下で俺は立ち止まり、坂木達に向き直る。
「こうなったのは俺のせいだけど...1つだけ言わせてくれ...もうAにこんな事しないでほしい...」
「ご、ごめ、んなさい...」
「俺にあやまる必要なんてねえよ...だから、Aに今度あやまってやってくれ...」
「う、うん...」
そう言って坂木たちは帰って行った。
...俺も帰ろう。
〜
「あら?幸男くんおかえりなさい」
「おばさん...ただいま...」
そろそろ家に着くという所で、今合わせる顔がない人物と会ってしまった。
Aの母さんだ。
買い物帰りなのか、スーパーの袋を持っていた。
「...幸男くんお家にクッキーあるから寄っていく?」
断ることも出来ずに俺はAの家に寄った。
よく家に寄ることがあるというのに、俺は妙に緊張をしていた。
「はい、どうぞ召し上がれ〜!」
机の上にクッキーが乗っている皿と、牛乳を置いて、おばさんは俺の向かいのイスに座った。
「いただきます...」
クッキーを口の中に入れる。サクッと音が鳴る。
俺はおばさんが作るクッキーが大好きで、Aとよく取り合いをしていた。
自然と涙が零れ落ちてくる。
「おば、さん...!俺、Aに...ひどっ、いこと...して...それでっ!しゅじゅ、つしなきゃいけなく...なって...ごめんな、さい...!!!」
「幸男くん...大丈夫だよ。おじさんもおばさんも怒ってなんかないから。」
「でもお、れ...ひどいこと...言った、し...こん、なこと..に!なったのも...おれのせいで...」
おばさんは俺の隣に座って、頭を撫でてくれた。
「泣いて、ごめっんな...さい...!Aがいたら...男の子が泣いちゃだ、め...って...言う...」
「そうかなぁ...Aはむしろ、私の前では泣いていいんだよ。って言う気がするなぁ〜」
「えっ...?」
「だっておばさんの子供だもん!」
そう言ってニコッと笑ってみせた顔は、とてもAに似ていた。
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笠松もみじ(プロフ) - シャンプーさん» 作品を読んでいただきありがとうございます!面白いと言ってもらえる展開を書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2018年1月26日 10時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー - 小説面白いです!初めから一気に読ませて頂きました。次の展開が楽しみです☆更新待ってます(≧ω≦) (2018年1月24日 21時) (携帯から) (レス) id: 170aaa5bac (このIDを非表示/違反報告)
笠松もみじ(プロフ) - 氷食症さん» 面白いと言っていただけて幸いです!更新頑張らせていただきます! (2018年1月1日 20時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
氷食症(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新お待ちしております! (2018年1月1日 17時) (レス) id: 4abaca475b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年11月12日 15時