検索窓
今日:17 hit、昨日:5 hit、合計:48,472 hit

74話 ヒーロー ページ30

気付いた時には、Aはもう押し飛ばされていて、視界には坂木たちの姿しか見えない。

咄嗟に動いた足も間に合うこと無く、伸ばした手も届くこと無く、Aは階段下に落ちていった。





「A!!!おい!!A!!!」



すぐに階段を走って降り、Aを抱き起こす。Aは肩を押さえて痛がっていた。
下手に触らない方がいいのか。頭を打っていないのか。こういう時に限って、俺は今何をするべきなのかが出てこない。




『ゆ、ゆきちゃん...?なんっで...ここにっ...うっ...!』


「なんで笠松くんが...!」


「もしかして今までの見られてた!」





Aや坂木たちが話していても、俺の耳には何も聞こえなかった。ただコイツが痛がっている姿を見ているしか出来なかった。



「...そ、その子が悪いんだよ!笠松くんに付きまとってるから...!」


「...から...」


「え?」


「いいから早く先生達呼んでこい!コイツ病院に連れて行く方が先だ!!!」


「〜っ!!!もうなんなのよ!」



坂木それだけを言い残して職員室の方へと走って行った。他の2人も、心配そうにその後ろを付いて行く。




「A...すぐ病院連れて行ってやるから...!もうちょっとだけ、ガマンしてくれ...!」



なるべく肩に触れない様にAを抱き締める。弱っているAの姿を見たくなかったんだ。

俺のせいでこんな事になってしまったAを、見たくなかった。





『ゆき、ちゃん...助けに来てくれたの...?』


「えっ...」


『わ、たしね...いたっ...ゆきちゃんが来てくれるってしんじて、た...の..』


「い、痛いんだろ...!無理するなよ...!」


『だってね...ゆきちゃんは、わたし、の...ヒーローだもん...』






Aの頬に1粒、2粒と水が落ちる。






『だから、泣かないで...ゆきちゃん...』





肩が痛くて痛くて、今にも泣き出したいのはAなのに...
痛めていない方の腕を伸ばし、俺の目から流れている涙を拭ってくれた。



「ごめん...ごめんな...A...」






ドタバタと、数人の足音が聞こえてきた。
大丈夫か!と教師が俺たちに声を掛けてくる。坂木たちが事情を話したのか、今救急車がこちらに向かっているらしい。


Aは一度保健室に運ばれ、肩を動かさないようにと応急処置をされ、すぐに来た救急車へと運ばれて行った。

俺達はと言うと、後日話を聞くと言われ、家へと帰された。

75話 その言葉は→←73話 それでもわたしは



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
62人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 笠松幸男 , 黒バス   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

笠松もみじ(プロフ) - シャンプーさん» 作品を読んでいただきありがとうございます!面白いと言ってもらえる展開を書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2018年1月26日 10時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー - 小説面白いです!初めから一気に読ませて頂きました。次の展開が楽しみです☆更新待ってます(≧ω≦) (2018年1月24日 21時) (携帯から) (レス) id: 170aaa5bac (このIDを非表示/違反報告)
笠松もみじ(プロフ) - 氷食症さん» 面白いと言っていただけて幸いです!更新頑張らせていただきます! (2018年1月1日 20時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
氷食症(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新お待ちしております! (2018年1月1日 17時) (レス) id: 4abaca475b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年11月12日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。