65話 話してくれない ページ21
『ゆきちゃんは、最近わたしと話してくれないね〜』
放課後の教室で、Aは俺に向かってそう告げる。
俺は今日出さなければいけない宿題を持って来るのを忘れてしまい、担任に居残って宿題をして提出をしろと言われたのだ。
ミニバスがあるため、Aは俺が宿題を終わらせるのを、前の席に座って待っている。
別にミニバスが無くても待っているのだが。
「あ?今こうやって話してやってるだろ...」
『そうじゃなくて、わたしはもっとゆきちゃんと色んなお話がしたいの!』
「別にしなくてもいいだろ。なんでそんなおれに構うんだよ」
『んーゆきちゃんが好きだからかなー!』
はあ!?と声が裏返る。
そんな俺を気にせずに、Aは笑顔で俺の顔を見ていた。
つーか、よくそんな事軽々と言えるなコイツは!
「俺は好きじゃねーし...」
『そっか〜でも、わたしは好きだからいいの!』
「意味わかんねえよ」
『えへへ〜それにしても、ゆきちゃん算数むずかしそうなのやってるね!』
「あ?別にカンタンだよ」
『わたし頭わるいから、6年生になったらタイヘンそうだな〜...』
Aは自分の事を頭が悪いと言っているが、それは当時の俺と自分を比べて言っている事だ。
普通にテストでは100点をとるし、6年生と4年生だから、学力に差があるのは当然の事だ。
それが、今では高偏差値で有名な国公立高校の推薦を蹴って海常に来るという、学力の無駄遣いをしている。
...本当に俺の幼馴染なのだろうか?
「お前バカっていうか、抜けてる所あるよな」
『それどういういみ?』
「ドジって意味だよ」
『えー!わたしドジじゃないもん!』
「はいはい。おれ宿題終ったから先生に出してくる」
『むー...いってらっしゃーい...」
Aは、ドジと言われて不貞腐れていた。
機嫌なおせという意味で頭をポンポンと軽く叩いて俺は職員室へと向かった。
『...かっこいいなー』
俺が職員室に行ったのと入れ替わりに、反対側のドアから女子3人組が教室へと入って行った。
「あれ?誰かいる」
『こんにちは...』
「あ、笠松くん待ってるのかー!」
『は、はい』
職員室は、教室から割と近いので、俺は直ぐに戻ることが出来た。
「あ、笠松くん!」
「え...お、おう」
「今からバスケ?がんばってねー!」
「バイバイ笠松くーん!」
女子が苦手な俺は、直ぐにこの場から離れたくて、挨拶もせずにAを連れて走ってバスケの練習場へと行った。
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笠松もみじ(プロフ) - シャンプーさん» 作品を読んでいただきありがとうございます!面白いと言ってもらえる展開を書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2018年1月26日 10時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
シャンプー - 小説面白いです!初めから一気に読ませて頂きました。次の展開が楽しみです☆更新待ってます(≧ω≦) (2018年1月24日 21時) (携帯から) (レス) id: 170aaa5bac (このIDを非表示/違反報告)
笠松もみじ(プロフ) - 氷食症さん» 面白いと言っていただけて幸いです!更新頑張らせていただきます! (2018年1月1日 20時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
氷食症(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新お待ちしております! (2018年1月1日 17時) (レス) id: 4abaca475b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年11月12日 15時