【stpr】マフィン焼いたら家燃えた 2

マフィン76 ページ31

貴方サイド

日曜日



莉「先輩、お待たせ！」

指定された待ち合わせ場所で待っていると、そう言ってりいくんが駆け寄ってきた

走って来たからか前髪がぴょこん、と跳ねている


『んーん、私もさっき来たとこだから全然待ってないよ』

手櫛でそれをといてやると心地良さそうに目を細めてはにかむ

莉「えへへ、ありがとう。あっ、先輩その服この前買ったやつだ！可愛い〜」

そして流石は後輩の中の後輩

きちんと変化に気付き誉めてくれた


『へへ、でしょでしょ？なんてったってりいくんが選んでくれたからね！』

そう言うとりいくんは恥ずかしそうに視線をそらす

うん、可愛い。とにかく可愛い。安定で可愛い

私がそんなことを思っているとりいくんはおずおずと私の手をとる


莉「えっと、その、今日くらいは先輩のこと独り占めしたい・・・」

あ、でも嫌だったら離してもらって構わないのでっ、と慌てて付け足すりいくんはやっぱり可愛い

『んふふ、やじゃないよ』


そんなりいくんに私の精一杯の可愛い笑顔で返すと世間一般でも可愛いの部類に入ったのか、顔を赤くされる

あ、今の顔ころんもよくする

保護者とはまた違う柔らかい目

なのに何でこの前あんなに冷たくなって喧嘩まで発展したんだろう


私がりいくん以外の人のことを考えているのを察したのか、りいくんは真っ直ぐな瞳でこちらを見つめて微笑む

莉「頑張ってエスコートするから俺のことだけ考えてほしい、です」

『！ありがとう、今日はよろしくね』

そうだ。目の前にいるのはりいくんで、ころんじゃない

だから今ころんのことを考えるのは失礼だ

今はりいくんのことだけ考えよう

そう結論付けて、私たちは歩き出した






『まずはどこいく？』

様々なお店が並ぶ商店街でコロッケを頬張りつつ尋ねるとりいくんは少し考えて口を開く


莉「うーん、このままブラブラして気になったとこがあれば寄る。みたいな感じもいいなぁ、って思ってるけど先輩はどう？」

『ん、私もそれがいいな。遠慮せずに言うんだよ』


りいくんの提案に頷いてみせるとほっ、としたような笑顔を見せる

莉「良かったぁ。先輩も気になったのあったらすぐ言ってね」

『分かってる分かってる〜』

莉「なんか軽いなw」

そんなことなくもなくもないよ、とりいくんからの言及を軽くあしらったらデート開始

莉「先輩、絶対に楽しませるから覚悟してて！」

後輩の背中がなんだか頼もしくなった気がした

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