俺から見たアノ女【◆灰崎】 ページ8
気にくわねぇ女___
初めて見た時から、そう思っていた。
全員まんまと騙されているようだが
俺は騙されねぇ。
アイツは俺と同族だ。
大輝と双子だから、自然に似ているんじゃなく
大輝を模倣してるから、同じに見えるのだ。
つまり、同族といっても
俺より上の模倣ができるタイプで
最近入った、涼太と近いソレだ。
あぁ、嫌いだ。
そのキラキラした目も__
楽しそうな表情も__
女らしくねぇ短い髪も__
ずっとそう思っていた。
「お前、バスケ辞めたんだってなァ?」
偶々下駄箱の前で
久しぶりに会った、Aに声をかけた。
曇った目をしていて
つまらなさそうな表情で
肩くらいまでに伸びた髪だった。
「だからなによ」
俺と同じ、イライラしているようで…
なんでも、俺の元チームメイト達に色々言われたとか。
「A、俺が楽しいコト教えてやろうか?」
ちょっとは女の子らしい見た目になったみたいだし
揶揄ってやろうと思ったら
Aはフンとそっぽを向き
靴を履いてスタスタ歩き出す。
「お生憎、大輝に言われてるの。アンタに近づくなって」
喧嘩してんのに
今だに大輝のいいつけを守ってる良い子ちゃんらしい。
喉を鳴らしながら笑ってしまった。
本当、大輝に関してだけは可愛らしい。
「ま、いいじゃねぇか。どーせ、お互い暇なんだからよ」
無理やり手を引っ張って歩けば
体育館から涼太達が俺らを見ているようだった。
いい気味だ。
そこから指咥えて見てればいい。
「アイツらに見せつける為なら、辞めときなよ。効果なんかないから。」
校門を出た所で、Aはパッと手を振り解いた。
どうもAは
アイツらから愛されている自覚がないらしい。
俺の見立てでは、少なくとも
涼太には大ダメージだったはずだ。
「とりあえず選べよ。俺の家に行くか、行きつけのバッセン行くか。どっちがいい?」
二択に Aは顔を顰めた。
「ソレで、アンタの家行く奴いんの?」
「結構いるぜ?来たらめちゃくちゃ嬉しませてやるよ」
それにゲェっと失礼な表情をしやがる。
「…まぁ、バッセンなら行ってもいーよ」
そう呟いたAは
いつも俺の隣をベタベタ歩くような女共とは違う
子供が拗ねた時のような、愛らしい表情で
下心なんか削がれてしまった。
「しゃあねーな、教えてやるよ」
どーせ、すぐ模倣してムカつくことになるけど。
たまには、二人で憂晴らしっつーのも
悪くねぇかもしんねぇ。
なんて思いながら、Aの手を引いた。
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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時