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俺から見た彼女【◆緑間】 ページ7

青峰の妹なのに3Pが綺麗__

そう思ったのは、
初めて彼女のシュート練を見た時だった。

「一人で何してるのだよ」

声をかけたら、驚いた顔を見せる。

「びっくりした!なんで女バスのとこいんの?」

ガランとした体育館は、男バスの雰囲気とは
似て非なるものだった。

「今から自習練だから…呼びに来たのだよ。じゃんけんで負けたからな。」

「緑間でもじゃんけん負けるんだ」

「赤司とだったのだよ」

「そりゃ無理か」

楽しそうに笑う顔は
素直に可愛いと思う。

「緑間、ちょっとシュートしてみてよ」

「嫌なのだよ。お前はじっと見るから、やりにくい。」

「えー、ケチ。あ、さては調子悪いな」

「俺に調子が悪い日など無いのだよ」

イラッとして、ボールを投げれば
当たり前のように、ゴールをくぐった。

「ははっ、さすが」

笑いながら、バシバシ俺の背中を叩いてくる。
普通に痛い。

本当に、少しは女の子らしい
口調や仕草を覚えた方がいいのだよ。

そんなAが

「いいな、男の子は」

なんて言葉を出すようになったのは
1年の冬頃。

忘れもしない、皆で初詣に行った日__

「緑間と紫原から、身長分けてって神様にお願いしてやった」

隣に並んだAが
ケラケラ笑って言ってきた。

それは、多分本心なのだろう。

そして、青峰からではなく俺達からなのは
多分、青峰と同じようにバスケをしたいから。

「お断りだ。それに、女バスを優勝に導いたのだから、十分だろ」

言葉を間違えたと思った。
ただ、素直に、讃えたかっただけなのに。

「そうだな」

そう呟いた彼女は、消えてしまいそうだった。


2年にあがり、自習練に顔を出さない時が増えだした。

でも、俺は知っていた。

彼女が陰で練習に励んでいる事を。

あんな綺麗なシュートは
人一倍努力しないとできない事を。

Aのチームメイトは
一体何をしているのだと、苛立ちも覚えた。

そんな、彼女が「バスケを辞める」と言った時は

寝耳に水で…

あんなに頑張っていて

あんなに綺麗なシュートを放つ彼女が

辞める?

疑問しか浮かんでこない。


「何も知らないくせに」


俺は知っている。

お前が、誰よりも努力していた事を。

なのに、今にも泣きそうな顔を見せるから

次の言葉が出てこなくなった。


バスケ部を辞めた彼女と話す事はなくなり

久しぶりに見た彼女は

髪が長く、バスケとは無縁の女の子になっていた。

それにとても落胆し

同時に、裏切られたようにも感じたのだった。

俺から見たアノ女【◆灰崎】→←俺から見たあの子【◆紫原】



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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時

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