おは朝の呪い� 擒�】 ページ36
「危ない!Aっち!」
バウンドしたボールが
まさかの顔面直撃で…
体育館がしぃんとなった。
「…ころす」
「ひぃぃっ!ごめん、わざとじゃないっすよ!」
とりあえず、黄瀬にイグナイトを打ち込んでやろう
そう思ったら、グキッと変に手首をやってしまい
ボールは虚しく落ちていく。
「いっ、ったぁぁい!!!」
手を押えて半泣きでしゃがみ込むと
大丈夫かと、皆が近寄ってくる。
いや、もう痛いのと恥ずかしいのとで
感情がぐちゃぐちゃだ。
思えば、登校する時から
ついていないことだらけだ。
すると、ポケットに入れていたスマホの通知音がなる。
見れば、緑間からだった。
『今日の乙女座は
10年に1度あるかないかの最悪の日らしい』
『ラッキーアイテムは猫耳なのだよ』
小馬鹿にした笑いが聞こえた気がした。
「ふざけんな、おは朝」
私が怒りで震えながらスマホを握っていると
それをひょっこり黄瀬が覗く。
「えー!猫耳とか絶対可愛い!したほうがいいっすよ!」
ふざけてる。
やったほうが地獄だ。
「絶対やらない!ラッキーアイテムとか馬鹿馬鹿しい!」
そう言って怒りながら
タオルを洗濯場まで持っていこうと外に出た瞬間
「お、青峰って、うわぁっ!!」
野球部の田中が持っていたバケツの水が降ってきた。
「シバくぞ!田中ぁっ!」
「悪い、綺麗なやつだから!」
田中はそういって逃げて行く。
「だ、大丈夫か…A」
「大丈夫に見えます?」
心配そうに、笠松先輩達が聞いてくるが
その顔はなんだか半笑いだ。
ムカつく。
イライラしながら散らばったタオルを集めようとしたら
落ちていたタオルに足が引っ掛かり
盛大に転けてしまった。
ずぶ濡れのうえ
ジャージは泥だらけ
身体も痛い…
「だめ、泣く、もう泣く」
そんな私を見て、お腹を抱えて笑っているのは
黄瀬、笠松先輩、中村先輩、早川先輩、森山先輩。
「大丈夫か?Aちゃん」
本気で心配してくれてるのは小堀先輩だけ…
そう思っていたのに…
「あ、猫耳、速水が生徒会の備品にあるって」
そんな小堀先輩がにっこり笑ってスマホを見せた。
「え…物凄く裏切られた気分です」
そこに速水先輩と南がニヤニヤしながら現れた。
その手にはしっかり猫耳がある。
「A、大丈夫?」
笑いを堪えながら南が聞く。
その手にはスマホがカメラモードで握られている。
「来るな、まじで」
「おは朝に感謝だよね」
ニヤリと笑う南と
興味津々の顔で見ている先輩達
地獄はここから始まる。
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作者名：chieko | 作成日時：2023年12月4日 23時
