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合宿でお風呂トーク【◯黄瀬】 ページ32

「Aっちー、いるっすかー?」

「うるさい、ばか」

竹垣一枚挟んだ向こうにいる
Aっちに声をかければ、気怠い声が聞こえてきた。

そして、3年生の先輩達は妙に黙っている。

一緒に入ってるみたいで
なんか、こういうのいいなーなんて
顔が緩んでいると

「黄瀬、やめろ」

なんて、赤い顔で笠松先輩が小声で言ってくる。

「何がっすか?」

「いや、ほら俺もこういうシュチュエーション憧れてたけど、実際やると、ほら、色々想像しちゃうし」

森山先輩も赤い顔でモゴモゴしている。

「俺もちょっと、恥ずかしいかな」

小堀先輩まで同じ顔をしていた。

「え、何がっすか?混浴じゃあるまいし」

ケロッと俺は言うけれど
先輩達も所詮健全な男子高校生なわけで
まぁ、俺みたいに女性経験も無さそうだし
良からぬ妄想でもしてしまうのだろうか。

「Aっちー、3年の先輩達、ムッツリっすわー」

「「「黄瀬ぇ!!!」」」

「ばっかじゃないの」

上からお湯が降ってきて
俺に命中する。

「ちょっとAっちー!酷いっす!つーか、見えてんすか?」

竹垣越しに、Aっちの楽しそうな笑い声が聞こえた。
あぁ、それだけで可愛い。

「ふっ(ろ)ぉーーっ!!」

「やめろ、早川。つーか、なにしてるんですか」

早川先輩がバシャーンと音を立てながら入り
中村先輩がそれを咎めながら入ってきた。

「Aー!い(る)のかー?」

「いますよー。気持ちいーですよねー」

「だなー!!」

早川先輩は普通に楽しそうに話していて
それに3年生達は赤い顔で目を丸くしている。

「あぁ、そういうこと」

中村先輩は呆れたように笑っている。

「中村先輩はなんでもお見通しっすねー」

「まぁ、俺も健全なんで」

そんなふうに言う、中村先輩に俺は目が丸くなる。

「知ってるか?あの竹垣、隙間あるらしいぞ。」

ニヤリと笑った中村先輩に
俺も含め早川先輩以外が固まる。

「ど、どうするっすか」
「馬鹿野郎!な、何考えてんだ!」
「いや、俺は探してみたい」
「ふ、ふざけんな!森山!」
「さ、さすがに良くないだろ、森山」

こそこそと俺達が赤い顔で話していると

「Aー、覗き気をつけろー」

中村先輩の声に、上から大量のお湯が降ってくる。
それが、いつの間にか竹垣に近づいていた4人に命中した。

「おいA!黄瀬と3年の先輩達にかかってんぞ!」

なんて早川先輩が余計な事を言った。

「へぇ、よくわかりました」

恐ろしい声が聞こえて
俺達の顔は一瞬で青ざめたのだった。

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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時

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