久しぶりに会ったあの子【◯紫原】 ページ29
はやく、はやく、はやく
探していた青い頭を見つける。
彼女は彼女によく似合う青いジャージを着ていた。
それだけでも嬉しいことだが、もっと嬉しいのは
黄瀬ちん達と話をしている彼女の表情が
だいぶ柔らかくなっていること。
俺の口元は自然に緩んでいた。
「Aちーん」
狙いを定めて、Aちんにのしかかる。
俺にスッポリ包まれてしまう彼女は
去年より更に小さく可愛らしく見えた。
「紫原…重たい…」
久しぶりの声は、俺の重さで苦しそうな声。
そんな彼女を守るように黄瀬ちんがこちらに気づいて
ギャーギャー言ってくる。
うるさいなぁ。
自分はいつもAちんに会えるんだから
ちょっとくらいいいでしょー。
「Aちんが噂になってる。かわいーって」
って言ったら、海常の人みんな驚いてるし。
ばかなのー?当たり前だしー。
呆れながら、いつも通りまいう棒を食べた。
今日はAちんの好きなコンポタ味。
すると、下から声がかかる。
「紫原、とりあえず離せ」
Aちんが見上げて、そう言うから
「しょうがないなーAちん怒ると恐いし…」
名残惜しいけど、大人しく離すことにした。
「大輝の試合見に行くの?」
そう言われたが、峰ちんのことは
正直気にしてないんだよねー…
どーせ、勝つだろーし。
そんなことより…
「Aちんの顔見にきただけだよー」
Aちんの頭を久しぶりに撫でた。
あー久しぶり。
Aちんの髪って、本当綺麗なんだよねー。
思わずニコニコしてしまった。
「ちょっと紫原っち!!ベタベタしすぎ!!」
黄瀬ちんに、またキャンキャン言われてしまった。
むー。本当邪魔だなー。
だいたいAちんも、なんで、黄瀬ちん選んだんだろう。
スマホが震えているのに気づき見ると
赤ちんの名前が表示されている。
あちゃー、残念、行かないと。
「えー?普通じゃん。じゃあ、そろそろいくねー。」
本当はもっと話ししたかったんだけどなー。
そう思いながら、ポケットからお目当ての飴を取り出した。
Aちんは、それを物欲しそうに見ている。
そりゃそうだよね。Aちんの好きな飴だもん。
そーだ、いいこと考えた。
「Aちん」
「なに?紫ば…」
口が、開いた瞬間にズボッとソレを突っ込むと
Aちんの顔が可愛く緩んだ。
「おいしー?」
「うん」
みんなAちんは、素直じゃないって言うけど
俺の前だと結構素直だ。
変わっていない。
あと少しで、もっと可愛いあの笑顔が見れそう。
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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時