久しぶりに会った彼女【◯緑間】 ページ27
「…なんでお前までいるのだよ」
「そりゃこっちの台詞だ」
久しぶりに会った彼女は
相変わらずのしかめっ面だった。
それでも黒子にだけは、柔らかい表情を向けている。
火神が呪文のように注文すれば
Aはしれっとミックスを注文していた。
「お好み焼きなら、豚かイカのどちらかだろ」
そう小言を言いながら、豚玉を注文すれば
Aは眉間に皺を寄せる。
「はぁ?どっちも食べたかったんだよ。いいでしょ別に」
「だからお前は欲張りなのだよ」
「なに?喧嘩売ってんの?買うよ?」
イライラしだした彼女を黄瀬はヒヤヒヤ見てるし
黒子は呆れたように見ている。
彼女が来ている制服は
仲が良かった黒子と同じでも
双子の青峰と同じでもなく
黄瀬と同じものだった。
それが本当に納得いかない。
「Aはバスケ部なのか?」
「なわけないじゃん」
そんなわけないのは、わかっている。
黄瀬が、Aを動かせるはずはない。
でも、彼女は理由もなく
何かを選ぶ奴ではないから
もしかしたら…と
淡い期待をしていたのだ。
それなのに、Aときたら
他校の誠凛にはベタベタ懐いていて
同じ高校の黄瀬やその先輩には関わろうとしない。
あぁ、やはり
彼女がバスケをする事はもうないのか。
そう思ってしまった。
お好み焼きを手際よく急いで食べるA。
よほど、早く帰りたいらしい。
「A、話がある」
食べ終わった瞬間言えば
嫌な顔をされた。
それでも外に着いてきて
話を聞いてくれようとしてくれる。
根は優しいのだ。
「さっき青峰から連絡があったのだよ」
その名を出せば
辛そうに顔を歪めた。
二人共、同じ顔をするのに
何故すれ違うのだろうか。
「いい加減、仲直りしたらどうだ」
そうすれば、Aはまたバスケをするだろうし
青峰も少しはバスケに向き合うだろう。
もしかしたら、俺達、皆の関係も良い方向に…
昔みたいに戻れる気がする…
そう思っただけなのに…
「そんな簡単な問題じゃない。」
なのに、また、泣きそうな顔をさせてしまった。
久しぶりに話せたのに
結局、Aを傷つけてしまっただけだった。
Aと別れ、店に戻り
黒子に自分の代金とAから託された千円を渡す。
「帰るぞ、高尾」
すると、黒子は怪訝な顔を向けた。
「緑間くん、Aさん、300円足りませんよ」
奴はいつの間にかコーラも頼んでいた。
絶対確信犯だ。
青筋が浮かんだ気がする。
その証拠に高尾が腹を抱え笑っていた。
相方が気にしているアノ子【◯高尾】→←お好み焼き屋の裏側【◯笠松】
43人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時