海常に入学しました【◯黄瀬】 ページ24
奇跡だと思った。
同じ制服を着た、Aっちがいる。
しかも、同じクラス。
「え、運命?」
なんて、呟けば
周りの女のコ達がソワソワしていた。
ごめん、君らじゃないんすよ。
「Aっちー!俺を選んでくれたんすねー!!」
嬉しくて
嬉しくて
嬉しくて
Aっちに飛びつこうとしたのに
サッと避けられてしまった。
「なんで、アンタがいんの」
え、俺と同じが良かったんじゃないの?
俺とバスケするために…
色々言おうと思って顔を上げたら
Aっちの横には
帝光の時から、Aっちの隣にいた
夏川南ちゃんがいた。
「もしかして、Aっちが海常選んだ理由は…」
震える声を頑張って振り絞りながら聞けば
Aっちは溜息をついた。
「南が海常行くって言ったからだけど」
フンっとそっぽを向き
Aっちは一番前の自分の席へ戻っていった。
「そ、そんな〜…俺の胸の高鳴りどうしたらいいんすか〜!」
まるで、知らん!と言うようなオーラが
彼女の背中から漂っている。
そんな俺達の姿に、南ちゃんは愉快そうに笑っていた。
「あぁ、本当素直じゃない」
「どういう意味っすか?」
俺が聞いても、南ちゃんは意味深に笑って
それに答えることはなく
真ん中列の一番後ろの席に戻っていった。
あの、なんでもAっちのこと知ってます感が
ほんの少し、いや、結構腹がたった。
でも、プラスに考えるのが俺!
そう、同じ高校にいるのだから
きっと、バスケ部にも興味を示してくれるはず!
なんたって、海常には女バスはなくて
全国区常連の男バス強豪校なのだから!!
そんなことを頭で巡らせているうちに
入学時のレクリエーションは、いつの間にか終わっていた。
「Aっちー、バスケ部見に来ないっすか?俺、入学前から入ってるから、案内できるっすよ!」
Aっちは、怪訝な顔を向ける。
「行くわけないでしょ」
即答だった。
それから彼女の運動神経の良さを知った
色んな運動部が彼女を勧誘に来ていたが
首を縦に振ることはなかった。
まさか、本当に
南ちゃんの為だけに海常に入ったのか…
チラッと南ちゃんを見れば
俺の視線に気づいた南ちゃんはニヤリと笑った。
「A、部活どうすんの?」
「帰宅部」
ムスッとして言うAっち。
南ちゃんは俺にしてやったり顔を向ける。
なんで俺あんな挑発されてんすか!
「南ちゃんって…青峰っちより厄介かも」
勝算がない、前途多難な部活勧誘に溜息をついた。
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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時