海常なんて聞いてない【◆青峰】 ページ23
帝光の卒業式が終わった頃
なにやらAが
ダンボールで部屋を片付けている。
なんだ、アイツ
断捨離でもしてんのか?
かくいう俺も、桐皇が全寮制らしく
面倒クセェと思いながら
必要な物をダンボールに詰め込んでいた。
「大輝、あんた全然終わってないじゃない。A見習いなさいよー。本当色んな意味で。」
頭を抱えて溜息をつく母親。
色んな意味でっつー嫌味はスルーするとして…
「なんでAも荷造りしてんだよ」
もしかして、アイツもしれっと桐皇にしたのか?
なんて口元が緩みそうになったのも束の間
「あれ?聞いてないの?あの子、高校神奈川にしたから、その近くにある、お義兄さ…オジちゃんが大家してるとこに住むことになってんの」
ガンっと頭を殴られた感じになる。
神奈川…?
可能性のある高校なんて、一つしかない。
「あの子、元々女バス強豪校の神奈川の高校希望してたから、1年の頃から神奈川のオジちゃんにお願いしてたみたいでさ、本当しっかりというか、ちゃっかりしてんだから。」
笑いながら母親は言うが
俺の心中は穏やかではない。
「でも、あの子、女バスで色々あったみたいだから…ほら、アメリカは流石に心配で無理だったけど、行きたいって言えるとこがあって良かったよ」
「どこ…だよ、その神奈川の高校って」
動揺を隠すように、机の中の本当は要らないものを
ダンボールに片付けながら聞いた。
「あんた、本当に聞いてないの?もー、ちょっと前まではべったりだったくせに…とっとと仲直りしなさいよ」
「うるせぇよ。だから、どこなんだよ」
イライラしながら聞けば、母親は溜息をついた。
「海常高校よ」
なんで…
まだ、テツと同じ所を選んでくれたら
こんな、嫌な気持ちもマシだったかもしれねぇのに…
「あ、A。終わったんなら、荷物は車に乗せといて。」
母親がAの部屋の方を見て言う。
「わかった」
アイツの声が聞こえた。
「大輝もさっさと片付けなさいよ」
母親は呆れたように言いながら
俺の部屋のドアを閉めずに下へ降りていった。
開いたドアの前を
俺の方を見向きもせずに
Aがダンボールを持って通りすぎる。
んだよ…
変なとこは選ぶなって、俺言っただろ…
「俺への当てつけかよ…」
八つ当たりするように
開いていたドアを蹴飛ばして閉めれば
大きな音がなった。
母親の怒る声が聞こえてきたが
そんなこと気にしてられなかった。
海常に入学しました【◯黄瀬】→←同じ高校に来るわけがない【◆赤司】
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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時