男子バスケットボール部【◆】 ページ3
「ねぇ、大輝!誰あれ!」
「あぁ?どいつだよ」
「あの、赤い髪!」
一際目立っていた、赤い髪。
彼を初めて見た時、心が踊ったのが自分でもわかった。
「あぁ、赤司か。俺と一緒で1年でレギュラーなった奴。」
大輝はなんだかつまらなさそうな顔をしている。
「いいなぁー、アイツのパス受けてみたい」
彼のボール捌きに一瞬で虜になった。
「あれ?Aちゃん、部活は?」
タオルを抱えたサツキに聞かれて
私は顔を顰める。
「休みなんだって。本当つまんない」
女バスは休みが多い。
先輩達は優しいし、同級生も普通にいい子。
でも、バスケにそこまで熱い感じはないみたい。
あんまり、熱いこと言って
面倒くさがられると嫌だから
私も、その活動方針に特に何も言わないでいた。
そんなことを考えていると…
「青峰!!なにサボってんだ!!」
「「はいっ!すみません!」」
突然の怒声にびっくりして、思わず返事をする。
声が被った隣を見ると、私と同じように直角に腰を曲げた
大輝がいた。
あぁ、そうだ。
普通に考えたら、ここは男バスで
その声の主は片割れの先輩。
かぁっと顔が熱くなっていく気がした。
…やらかした。
「誰だ、お前」
ですよね。
片割れは私を見て、腹を抱え笑っている。
そして、その様子はどうやら見られていたらしい。
「虹村さん、彼女は青峰の双子の妹さんですよ」
赤い奴が上品に笑いながら、その先輩に説明した。
なんで知ってんの?
なんて、顔をしていたのに気付いたのか
「青峰双子は1年で有名人なのだよ」
緑の眼鏡が呆れたような顔を向けた。
「妹ちゃんは白くて小さくて可愛いね〜」
紫色の大きな奴が私の頭を撫でてくる。
つーか、デカ…
羨ましい…
ぼけっと見ていると
大輝は眉間に皺を寄せていた。
「触んな、紫原」
「峰ちん、こわ〜」
「青峰のシスコンもクラスで有名なのだよ」
緑の奴は、どうやら大輝と同じクラスらしい。
さっきはスルーしたけど
なのだよって何だよ。
「青峰の妹だったのか?悪いな、驚かせた」
さっきの恐い顔をした
大輝の先輩が、ポンポンと私の頭を触る。
隣のしかめっ面の大輝と
ぽけっとした間抜け面の私を見比べて
その先輩は吹き出して笑った。
「なんか、お前らオセロみてぇ」
双子なのに、見た目正反対だな。
なんて、さっきの恐い顔はどこへやら…
面白いものを見つけた少年のように笑う。
ドキンと心臓が跳ねて
顔に熱が上った。
それは、味わったことがない感情だった。
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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時