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一緒の高校だったら嬉しいな【◆紫原】 ページ20

「やっほー、Aちん」

「なんでいんの」

Aちんが最近よく行くと風の噂で聞いた

バッティングセンターに来ていた。

「もう進路決まったー?」

俺はAちんの問いかけを無視して喋りだす。

「…最近やたらその話になるな」

「そりゃ受験生だからねー」

ということは、他の誰かにも誘われたんだろうなー…
と思いながら、Aちんのバッティングを見ていた。

「俺はねー、陽泉って秋田の高校から推薦来ててさー」

Aちんは黙って聞いている。

「寒いから、ちょっと嫌なんだけどねー。でも、きりたんぽとか美味しいものいっぱいあるし、監督も美人だし、赤ちんも陽泉にしなって言うから、ま、いいかなーって。」

カキーンといい音がなり
バックネットにボールが飛んでいった。

やっぱ反応ないか。
ま、俺達のこと、嫌ってるんだろーし
しょうがないか。

なんて、思っていると

「遠いね」

ポツリと小さい声が聞こえてきた。


「ねぇ、Aちん。陽泉の監督がさ、Aちんのこと気にしてたよ」

それにピクリと反応したのに気付く。

「それと、Aちん、マネージャーとして陽泉来ないかなーとも言ってた」

その監督から、全中の話を聞いた時は
正直、そりゃ辞めたくなるなー…って思って
俺もちょっとわかるとこがあったから
あの時、安易に引き止めてわるかったなーって…
ちょっとだけ後悔したんだ。

でもこの事は、誰にも言っていない。
多分、Aちん、嫌がると思ったから。


「Aちん…気付かなくて、ごめんね」


ポツリと言ったことは、
聞こえていたのか聞こえていなかったのか…

また、カキーンといい音がなったと思ったら
ホームランと書かれたところに当たり
陽気な音楽がなった。

ガチャっとボックスから出てくると
受付に行って何やら持って帰ってくる。

「ん、あげる」

俺の目の前に現れたものは
大好きなまいう棒の詰め合わせで

目が輝いてしまった。

「いいの?!」

「餞別だよ」

それは、"陽泉には行かない"という事なんだろう。
まぁ、俺もダメもとだったんだけど
普通にショックだよねー…

ガサガサとまいう棒の詰め合わせから
コンポタ味を取って、Aちんに渡した。

「好きだよねー?」

「うん」

それを素直に受取る、Aちんは可愛い。

「バスケは?」

「…好きだよ。でも嫌い。」

「そっかー、また、好きになれたらいーね」


そう言えば、悲しい顔で笑った。

いつか、また、かわいー笑顔が見れたらいいな。

同じ高校に来て欲しい【◆黄瀬】→←同じ高校に来ればいい【◆緑間】



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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時

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