検索窓
今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:4,748 hit

同じ高校に来ればいい【◆緑間】 ページ19

「まだ一人でやってんの?」

誰もいなかったはずの体育館で声がかかる。
久しぶりに聞いた、その声に驚いたが

「…うるさい。邪魔をするな。」

振り向かずに、シュート練を続けた。

「だいたい…部外者が何の用なのだよ」

強い口調は
きっとまだ彼女を許せていないから。

バスケを辞めてしまった彼女の事を。


「べつに。」

__誰もいないと思ったから。

そう続けた彼女に、もしかしたらバスケをしにきたのか
なんて淡い期待が膨らんだ。

それなのに、

「シュート以外の練習したら?」

「外れても、あいつらなら誰かしらフォローするでしょ。」

なんて、言ってくる。

彼女はあの時から、
俺達の試合なんて、何にも、見ていないんだと思った。


「人事を尽くしてない奴らは信頼できないのだよ。」


強い口調で返したが
Aは、あっそと気にしてないように呟き
ただ、俺のシュートを見ていた。


「何処から推薦来てんの?」


思いがけない言葉に、シュートする手が止まり
今日初めて顔を見た。

前より、随分と伸びた髪が目に映る。

「秀徳だが」

「へー…」

なんの為に聞いたのか、
変に勘くぐってしまう。

「Aは、どうするのだ」

聞いたら、困ったような顔をした。

「さぁね。」

別に、自分と同じ秀徳に、とは思わない。

だが、バスケをして欲しい。

どんな形でもいいから、あのシュートが見たい。

せめて、青峰か黒子と一緒の学校であって欲しい。

そう思っていたのに…

「黒子と一緒か?」

「いや、多分ない」

「青峰と一緒の桐皇か?」

「ははっ、もっとない」

そんなふうに返されたら、諦めたくもなるが
万が一、賭けにでてみた。

「秀徳なら、Aの学力には合っていると思うのだよ」

それに、Aは目を見開く。

間違った事は言っていない。

赤司と俺の間、学年2位の実力なのだから
秀徳の様な文武両道の学校は合うと思った。

それだけだ。

「…ありがと」

久しく聞かなかった感謝の言葉は響かない。

なぜならそれは、"でも"が後ろに続くから。

「礼を言われる筋合いはないのだよ」

強がって、そう言えば
Aは、ボールを手に取った。

「緑間には、きっといい仲間ができるよ。

シュート外れても大丈夫って思える仲間が」

そんな事は想像できないが…

Aのシュートはやっぱり綺麗で
まだバスケを捨ててないと確信した。

「秀徳に来れば、俺が必ずバスケ部に引き上げてやる」

それには、何も答えず体育館を出ていってしまった。

一緒の高校だったら嬉しいな【◆紫原】→←本当は同じ高校がいい【◆青峰】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。