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本当は同じ高校がいい【◆青峰】 ページ18

「Aちゃんも誘っといたで」

桐皇の先輩に言われた言葉を

ほんの少し期待した。

もう、自分では誘えねぇから。



俺は知っている。
アイツが俺が居ない時に、月バスを読みに来ている事を。

アイツは知らない。
俺が月バスにはもう興味ないけど、毎月買って
わかりやすく机にそれを置いている事を。

俺は知っている。
アイツが夜中に偶にストバスへ行ってる事を。

アイツは知らない。
夜道は心配だから、俺がバレないように毎回必ず見に行ってる事を。

俺は知っている。
アイツのクローゼットの奥に
捨てられなかったバッシュが大事に仕舞ってある事を。

アイツは知らない。
俺が、本当はAとバスケをしたいという事を。



どうすればいいのか、わからなくなっていた。

サツキには素直になれと言われるが

アイツを見ると言葉が出なくなる。

つい、余計なことを言ってしまう。


第一希望欄に"桐皇学園"と書いてある
自分の進路希望用紙を見て溜息をつき
ガシガシと頭をかいた。

それをリビングの見えやすいところに置いておく。
あくまで、親の印鑑を貰う為に。

「なんで、ここに置くわけ?」

その見えやすいところは、リビングの机で
もっと言えば、Aが今座ってる目の前だった。

「別に、忘れねぇように置いただけだ。」

「あっそ」

無愛想ながらも、テレビのリモコンで
ソレが飛ばないように押さえてくれる。

そんな、優しいとこもわかっている。


「…お前は」

ぴらっと見せられた紙には何も書いていない。

それを見て、俺は、思ってしまう。

"大輝と一緒のとこには行かない"

そういう意味だと。

「そうかよ…、変なとこ選ぶんじゃねぇぞ」

素直に"桐皇に来い"なんて

もう、いえねぇ。


自分の部屋へ行く為に、階段を上ろうとしたら

「今日、テツに誘われた」

それに足が止まる。


「そーかよ…」

「多分行かないけど」


心臓が変に動き出した。


「お前、テツと俺が戦う事になったら…どっち応援すんだよ」

うまく、動揺を隠せたと思う。



『大輝に決まってんじゃん』



『そんなの決めらんない』



『どっちも応援する』


そう言われたら、まだ可能性があるのだろうか。

そう思っていたのに

無情にもアイツはハッキリと答えた。


「テツ」


あー、やっぱ、コイツは俺と同じ所に来る気はない。

そう確信し、舌打ちをする。


「本当、可愛いくねぇ妹」


本当は、世界一可愛いと思っている妹に

大嘘を吐き捨てて部屋に戻った。

同じ高校に来ればいい【◆緑間】→←同じ高校へ行きたい【◆黒子】



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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時

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