花宮真との出会い後【◆】 ページ15
「ちょっと大輝、これ飲んでみてよ」
「あ?くれんの?つーか、湿布くさくね?」
花宮真から貰ったスポドリが怪しすぎて
大輝に飲んでもらうために男バスの会場に足を運んでいた。
先程のラフプレーで痛む身体は長袖のジャージに隠れているが、湿布の匂いは誤魔化せなかった。
「ちょっと痛めたから、湿布はっただけ。」
「あぁ?!大丈夫かよ?!見せてみろよ!」
「嫌だよ。大丈夫だから、早く飲んで」
そんな様子を遠巻きで見ているテツ達は
呆れていたり、笑っていたりと様々。
さっきの過保護発言で、やたらシスコンだと言われているが
大輝は全く気にしてないようだ。
スポドリをゴクッと飲むところを、じぃっと見れば
大輝に怪訝な顔をされる。
「んだよ?」
「お腹痛くなったり、身体に異常ない?」
「はぁ?これ腐ってんのか?別に大丈夫だけど」
それを聞いて、大輝からスポドリを取り上げる。
「じゃあ、いいや。毒味ありがとう」
そう言いゴクゴク飲めば、喉が潤った。
アイツ、言うほど悪い奴じゃないのかな…
「A?さっき毒味って言ってたけど…それどうしたんだい?誰かに貰ったのか?」
赤司がスポドリを指して聞いてくるから
「うん」と、首を縦にふった。
なんだか、皆が目を丸くしたり、眉間にシワを寄せたりしてこっちを見てくる。大輝に至っては何故か怒っている。
「えーっと、確か…1つ上の、花宮真」
「今すぐ捨てろ」
大輝は鬼のような顔で私からスポドリを取り上げた。
「だからお前はバカなのだよ」
緑間は呆れた顔で溜息をつき、
「青峰くんに毒味させたことは褒めますが…」
テツも溜息をつきながら、頭を抱えている。
「花宮って誰かわかんないしー…でも知らない奴に貰っちゃだめでしょ〜」
紫原は、それが誰かはわからないようだけど、不満気に口を尖らせた。
「つーか、なんでソイツ、Aっちに話しかけてんすか?!」
黄瀬に至っては、花宮が話しかけてきたことすら怒っているようだし
「A、他になにかされたことはないか?」
赤司は黒い笑顔で圧力をかけてくる。
じぃっと皆に見られる中、花宮との事を思い出す。
「んーー…意外といい奴だった」
ケロッと言えば
全員から盛大な溜息をつかれた。
でも、少なくとも、ここの誰よりも
試合で傷ついた私の事をわかってくれてるし
湿布やスポドリも
罪悪感から渡してくれたのだから__
「根は優しい人なんだと思う」
大輝からスポドリを奪って飲めば
また、皆に怒られたのだった。
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作者名:chieko | 作成日時:2023年12月4日 23時