年上彼女×高校生の彼等【黒バス】

ラッキーアイテム ページ6

「緑間くんはこれかなー?」

Aさんは俺に練習着を合わせて、綺麗な笑顔で俺を見上げてくる。
その上目遣いという破壊力に、俺は真っ赤になりながら顔を反らした。

ニヤニヤしてる高尾を今すぐにでも殴りたい…。

「Aさん、Aさん、真ちゃんは今日俺の付き添いだから」
とゲラゲラ笑いながら、高尾が言うから、Aさんはハッとしてから苦笑いした。
「ごめん、つい流れで…」
「いえ、大丈夫です。」
そう言いながらも、Aさんが持ってきたカーキ色の練習着は確かに俺の好みだった。

ただ高尾の手前どうしても素直になれず、その日はモヤモヤしながら家に帰るはめになった。
帰り道、高尾がそれは嬉しそうに店の袋を抱えてて、羨ましいのと同時にイライラした。

「真ちゃんも買えば良かったのにー」
「うるさいのだよ高尾」

そして、高尾といい宮地さんといい…
俺達だけのAさんではないという現実に多少胸が傷んだ気がした。

翌日、さっそく高尾が嬉しそうに練習着を着ていた。
全く…単純バカなのだよ…。
そう思いながら、俺は明日のラッキーアイテムがなんなのか検索していると…
蟹座のラッキーアイテムはカーキ色のTシャツとなっている。

そんなもの、探せばいっぱい出てくるはずなのに…
俺の頭には昨日のAさんが合わせてくれた練習着しか頭に出てこなかった。

「いらっしゃいませー!って…あら?緑間くん」
Aさんが驚くのも当たり前だ。
昨日の今日で来ているのだから。
気まずそうな俺に気づき、Aさんは笑って俺の腕を引き招き入れてくれた。

「もしかして、これ?」
そう言い差し出されたのは昨日の練習着で、顔が熱くなる気がした。
「…明日のラッキーアイテムがカーキ色のTシャツだったのだよ。なので…」
そう眼鏡のブリッジを上げれば、Aさんはケラケラ笑う。
「そうかそうか。ありがとね。」
そう言い笑いながら、練習着を袋にいれてくれた。
「じゃあ、2000円ね」
値札より安い価格に俺は驚いて
「俺は割引券持っていませんが…」と言うと
Aさんはにっこり笑った。

「緑間くんは…最後までしっかり部活行ってたから。頑張ったご褒美だよ」

あまりにも綺麗に笑う彼女を
俺は無意識に抱き締めていた。

「ありがとうなのだよ…」

Aさんは優しく、昔みたいに俺の頭を撫でてくれた。

あの時のやるせない気持ちが、少しだけ楽になった気がした。

------------
(真ちゃん買ってるし!!!)
(ラッキーアイテムなのだよ!!)

お散歩にきました→←ベビーローテーション

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す