笠松先輩の好み ページ6
聞いてしまったのだ
聞くつもりはなかったのに。
「去年の今頃っすよねー。みんなで合コン行ったの」
「中村(ら)も来(れ)ば良かったのに」
「俺はナンパがそもそも無理だ」
黄瀬が話し出して
それに早川先輩と中村先輩も参加しだした。
部室のドアの前で、考えてしまう。
今入っても話の邪魔にならないのか。
考えている間に合コンの思い出話が加速して
森山先輩や小堀先輩の失態の話を聞き
思わず笑いそうになってしまう。
「いや、でも一番やらかしたのは笠松先輩っすよねー。乾杯って言おうとしたのを、おっ◯ーいって。どんだけ、胸に目いってたんすかね。」
「でも気持ちはわか(る)。みんな大きかったもんな」
黄瀬と早川先輩の言葉に笑いなんか収まっていた。
なんなんだ、このイライラとモヤモヤが合わさった気持ち。
「絶対、笠松先輩って大きいの好きっすよねー」
わかっている。
こんなの笑い話なのだ。
なのに、
チラッと自分のを見る。
別に小さいわけではない。
ソレなにりある…と思う。
でも、サツキや南みたいなのが大きいんだろうから
それに比べたら、、、
なんだか泣きそうになってきた。
まだ黄瀬と早川先輩が楽しそうに思い出話をしようとしたら
中村先輩の溜息が聞こえた。
「その辺でやめとけよ。A?大丈夫か?」
部室のドアがガチャと開けば、中村先輩と目が合う。
後ろで黄瀬と早川先輩は青ざめていた。
「悪い、俺も今気づいたから、止めるのが遅くなっ…」
なんかわかんないけど、
いろんな感情でポロポロと涙が溢れてくる。
中村先輩達があからさまに慌てだしたが
止まんなかった。
「すみません」
「「「いや、こちらこそすみません」」」
涙が止まって謝れば、3人に土下座の勢いで謝られた。
「いや、大丈夫っすよ?笠松先輩、Aっちのこと本当に好きっすよ?合コンの話は過去だから」
「おもし(ろ)可笑しく言ってただけだ!気にす(る)な!」
「…でも、実話ですよね」
「「はい」」
しーんと部室が静まり返る。
「…笠松先輩は女の子がそもそも苦手だったから、普通に喋ることができていたAは、特別だったと思うぞ」
中村先輩にフォローされたが
「それって、女の子らしくないってことでは」
卑屈になってしまった。
そして、3人はまた黙り込む。
「大丈夫です。本人に直接確認します。」
3人は青ざめていたが
どうしてもモヤモヤするので仕方がない。
笠松先輩に私の家に来て欲しいと連絡した。
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作者名:chieko | 作成日時:2024年3月5日 11時