南ちゃんと恋話 ページ5
「笠松先輩がかっこよすぎる…」
「はぁ〜、まさか、こんな話をする日が来るとはねぇ」
真っ赤な顔して中庭でお弁当を食べるA。
ここは、いつも太一とお昼を食べていた場所なのだが
その太一も今は卒業していないので
最近ではAがここで一緒に食べてくれている。
「Aが甘えるのは、なんとなく想像できるんだけど、笠松がカッコいいのは想像できないわ」
私がそう言えば
Aは目を真ん丸にして見る。
「なんで?」
「は?私、笠松をカッコいいなんて思ったこと一回もない。ヘタレな姿か怒ってる姿しか見たことない。」
Aは信じられないという感じで私を見ている。
いや、あんたも最初は
笠松のこと、鬼だとかなんだとか言ってたよね。
「いや、でも案外手出すの早くてびっくりしたわ」
本当、そこはびっくりした。
この2人、なんなら1年くらい…
いや下手したらAが高校卒業まで
何もないかと思っていたのに…
これだけは、青峰くんには絶対言えない。
「え、早い方なの?」
心配そうにAはしているが
付き合って半年も
A相手に手を出さなかったのだから…
笠松はだいぶ頑張ったほうだと思う。
ただのヘタレ精神かもしれないが。
ま、何にしろAを大事にしてるのは伝わる。
「ごめん、言い方悪かった。大丈夫、笠松は健全な男子だったってだけだから。」
不安そうにしてるAが可愛い。
「ちゃんと大事にしてくれてるよ。それは一番アンタがわかってるでしょ」
そう言い頭を撫でてやると
Aはホッとしたように微笑み頷く。
なんとまぁ、初々しい。
いいなぁ…
私と太一なんて付き合って5年
出会って14年だ。
いや、うちらは付き合った当初から
老夫婦感だったかも…
なーんて、考えていると
「私、南と速水先輩が理想だよ」
可愛い笑顔で嬉しいことを言ってきた。
本当、よく笑うようになったなぁ。
「アンタ達は、そのままで良いんだよ。」
そう言えば、理由が分かってないのか
Aは目を丸くしてぽかんとしていた。
多分、このカップルはおじいちゃん、おばあちゃんなっても
可愛いんだろうなぁ…
ずーっと、
そうであって欲しい。
そんなことを思った昼休みだった。
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作者名:chieko | 作成日時:2024年3月5日 11時