キスマーク ページ13
明日は学校なので、家まで送ってもらった。
「ありがとうございました」
「いや、その、悪かった…」
笠松先輩が赤い顔でもごもごしてるから
首を傾げる。
「何がですか?」
「だから、その、つい、つけてしまって…」
何の話かわからなかったが
とりあえず、大丈夫だと思ったので
「大丈夫ですよ？それより笠松先輩、気をつけて帰ってくださいね」
今思えば、この時ちゃんと話を聞くべきだったと思った。
これは、理解してないことを、適当に流してはいけないと学習した出来事だ。
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いつものように、朝練のため
バスケ部部室へ向かう。
最近は部活の時に、髪を纏めている。
新しいシュシュを買ったので
今日はそれをつけようと腕に準備していた。
「おはよーございます」
「おはよう、A」
どうやら、中村先輩が一番乗りのようだ。
今日の朝練メニューなんですかねー?
なんて、いつもの会話をしながら
ロッカーに鞄を入れて、制服のジャケットを脱ぎ仕舞った。
新しいシュシュをご機嫌でつける。
「それ、新しいな」
とシュシュを指差した手が止まり
中村先輩の表情が固まった。
「そうなんです!って、どうしました?」
なんだか、みるみる顔が赤くなってる気がする。
「お前、昨日、笠松先輩と会ってたろ」
「え?そうですけど、」
肯定すれば、盛大な溜息をつき頭を抱え
「何やってんだ、あの人は」なんて呟いている。
「おはようございまーす」
「あ、おはよー」
1年の挨拶が聞こえた瞬間、
中村先輩は私のシュシュを素早く取り
髪の毛を前に垂らした。
「え、なんですか返して下さい」
「今日は結ばないほうがいい。後悔するぞ」
意味不明な返しに、眉間に皺を寄せると
また溜息をつかれた。
中村先輩は1年の方を確認する。
1年は楽しそうに話をしながら着替えだした。
それを見て私にしか聞こえないくらいの声を出す。
「首、ついてる」
「なに当たり前なこと言ってんですか」
あ、今の私の返しに、絶対イラッとした。
青筋が浮かんだように見える。
「だから、――っ…!!キスマーク…」
中村先輩の赤い顔は、珍しい。
いつもなら、絶対揶揄うところだが
今はそれどころじゃない。
ボンッと破裂したように私の顔も絶対真っ赤だ。
部室の救急箱から特大絆創膏を出して
ジャージを抱え部室を飛び出す。
途中、黄瀬に出会し挨拶されたが
答えることができなかった。
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(Aっち、めっちゃ慌ててたっすけど?)
(そりゃあ、慌てるだろな…)
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月5日 11時
