番外編�� 労働と救世主 ページ40
｢次B定食3丁！｣
｢はい！｣
鍋を大きく振るって食材を混ぜ合わせる。
魔術で室温を一定に保たれているはずの調理室は、その忙しさとガス火の熱気から汗だくになるほど蒸し暑かった。
ご覧の通り、僕は今調理師見習いとして働いている。それもカルエゴさんの学校の食堂で、だ。
学校の食堂なら昼の勤務だけで短時間で働けるし、帰ってから家のことができると思い、魔界で働くと決めた時からここにしようと決めていた。
オペラさんやシチロウさんの元で働く道もあったけど、知り合いの下で働くと、今後何をするにしても色々と甘えてしまうかもしれないし、知らない人に囲まれた方がきっと勉強になると思い、断った。
忙しいし、しんどいこともあるけど、僕はこの仕事が好きだ。
＊＊＊
本日の仕事も終わり、びっしょりかいた汗をタオルで拭いて、調理服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
ちなみにここの職員であれば、学校の設備は自由に使っていいとのこと。図書館はもちろん、運動部が使うシャワー室だって使える。本当にありがたい。
さっぱりした後、私服に着替えて、さあ帰ろうと廊下を歩いていると、授業中のはずなのに2人の学生が向こうから歩いてきた。
｢あ？なんだこのチビ。学校間違えちゃったんでちゅか〜？｣
｢ガキは家で飯食って寝てろガハハ｣
ええ…めんどくさい輩に絡まれた。
｢君たち何年生なの｣
｢フン2年生だ。先輩には跪いて敬えよ｣
｢ほらほら早く〜！｣
随分と舐めやがって…
しかし？こんな子供に煽られたからと言って？平常心を亡くす僕では無いのだ！
｢そうやって誰彼構わず驕った態度でいると、いつか痛い目見るよ｣
｢あぁ？！なにごちゃごちゃ言ってんだてめぇ。さっさと膝付けよ｣
｢つーかお前、妙に変な匂いするな…｣
あ、やべ。シャワーの後香水つけ忘れた。
まずい、人間だってバレる前に逃げないと！
｢な、なあ。どうなってんだよ？お前なんでそんなに美味そうな｣
目が血走り、涎を拭う様子の生徒を前に、慌てて踵を返す。しかし特に運動が得意なわけでもない僕の走りでは、早々に追いつかれて、勢いよく押し倒される。
｢ちょっとならいいよな？ちょっとぐらい…｣
｢わーー！待って待って！僕美味しくないからーー！｣
悪魔の鋭い牙が僕の目前まで迫ってくる。
じゅるりと零れた涎が首元に垂れて、ぞわりと全身の毛が粟立つ。
ぎゃーーー！！誰か助けて！！！
｢そこで何してる｣
救世主の声が、耳に触れた。
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奏(プロフ) - 本編もおまけもとっても面白かったです〜！友達以上恋人未満の関係の設定がめっちゃ良かったです！作品制作お疲れ様でした！作者様の他作品も見させていただきます〜！ (2023年2月25日 8時) (
レス) @page37 id: 89231dfe0c (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ガスカさん» コメントありがとうございます！応援のお言葉本当に嬉しいです。とても励みになります！ (2022年12月18日 20時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ガスカ - 続き楽しみにしています。頑張ってください!応援してます (2022年12月18日 18時) (レス) id: 59f6634a23 (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ルーミアさん» コメントありがとうございます！主人公の過去については、ゆっくり紐解いていきますので、気長にお楽しみいただければと思います！ (2022年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ルーミア - 昔に何があったのでしょうか気になりますね！次の更新頑張ってください！楽しみにしています (2022年12月5日 14時) (レス) @page15 id: 1c035b5819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2022年11月18日 8時
