31 普通の悪魔とお酒 ページ31
1週間が経った。依然としてAは帰ってこない。
「最近イライラしてますねー、あの子と喧嘩したんですか？」
「……」
「あ、もしかして別れた？」
「……チッ」
「え？図星？」
仕事もせず、突っかかってくるダリ先生に、俺は渾身の舌打ちをお見舞いする。黙って仕事しろ。
「話なら聞きますよ！あ、今夜飲みに行きます？」
「結構です」
「誰かに話した方が楽になりますよ〜」
昔からこの人は、やけに世話焼きだ。生徒に対してなら問題ないが、こちらにまでは来ないでほしい。
「話しても解決しないでしょう」
「んーでも、カルエゴ先生も普通の
本当に昔からこの人は…
ため息を吐く。昔の姿を知られているというのは、うまくやりきれないものだな。
「…わかりましたよ」
「やったー！お酒が美味しいお店を知ってるんで、そこに行きましょ！」
この人はただ酒が飲みたいだけじゃないか？
＊
「えー！急に出ていくなんて、あの子もやりますねぇ」
「どっちの味方なんですか」
「あはは、別にどちらにも味方はしませんよ。僕はただ話を聞くだけです」
いつもはマシンガンのように話すダリ先生が、この日は聞き役に徹してくれる。律儀な人だ。
「…考えもしませんでした。あいつが黙って出ていくなんて」
「うーん、なにか理由があったのかもしれませんね」
「………理由」
「黙ってないといけなかった理由とかね」
俺に愛想を尽かしたという理由なら、黙って出ていくのもわかる。しかしいつものように見送りをして、いつものように晩御飯を作り、準備をしていた…というのは、Aの意思に感じる。
「カルエゴ先生に愛想を尽かしたという理由ではないと思いますよ」
「…どうして言い切れるんです」
「だって僕が1番カルエゴ先生のこと知ってますからね！新人の頃のあんなことやこんなこと」
「あ"ー言わなくていいです！言わなくて！」
この場に俺以外がいなくて良かった。黒歴史は葬り去りたい。
「自信持っていいと思いますよ。カルエゴ先生は、嫌われるような人じゃない。僕が保証します」
「…ダリ先生に保証されても」
「あ！そこは良くない所だぞ！素直になりなさい！」
ギャーギャーとダリ先生に絡まれる。ウザイと思っていたその絡みに、今だけは心が軽くなった。
「お酒美味しいですねー」
「…ですね」
いつかAも連れてこれたら。
自然にそう思う自分に、思わず笑いが出た。
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奏(プロフ) - 本編もおまけもとっても面白かったです〜！友達以上恋人未満の関係の設定がめっちゃ良かったです！作品制作お疲れ様でした！作者様の他作品も見させていただきます〜！ (2023年2月25日 8時) (
レス) @page37 id: 89231dfe0c (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ガスカさん» コメントありがとうございます！応援のお言葉本当に嬉しいです。とても励みになります！ (2022年12月18日 20時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ガスカ - 続き楽しみにしています。頑張ってください!応援してます (2022年12月18日 18時) (レス) id: 59f6634a23 (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ルーミアさん» コメントありがとうございます！主人公の過去については、ゆっくり紐解いていきますので、気長にお楽しみいただければと思います！ (2022年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ルーミア - 昔に何があったのでしょうか気になりますね！次の更新頑張ってください！楽しみにしています (2022年12月5日 14時) (レス) @page15 id: 1c035b5819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2022年11月18日 8時
