23 にゃんと奇跡 ページ23
お孫さんの味の好みや、どういった環境にいたかを聞いていると、どうやら日本に似た地域だと考えられる。魔界にはネオ日本があるのかな？
日本の味と言えば…やっぱり白米と味噌汁だ。
しかしここにある味噌は、大豆から作るものではなく、麦から作った麦味噌。一部の地域でしか作られていないから、入手がとにかく難しい。
白米も、日本のお米とは形も大きさも違うけれど、ねっとりとした甘さが似たお米がある。
どちらも魔界では主流じゃないので、カルエゴさんに頼んで、なんとか探し当てた希少な逸品達だ。
つまりこの場にない材料。
とりあえず今日はその料理がどんなものかを説明して、後日家から材料を持ってきて作ることにした。
作る気満々だったオペラさんは、頭の上の耳がしょげていた。かわいい。
＊
後日。主人方を驚かせたいということで、主人方が不在の日を狙って、豪邸へとやってきた。
すわレストランの厨房かと思うほどの巨大なキッチンに通される。
作り方は至ってシンプルだ。研いだお米を鍋で炊く。煮干しでだしを取って、そのだし汁に味噌をとく。以上。
しかし、簡単だからこそ味の良し悪しが如実に現れるとも言う。丁寧にやることがコツだ。
器具や材料を準備し終えたら、横から指示を出していく。
オペラさんは要領よく、テキパキと料理を進めていく。
これ、僕いる？
｢Aくんは、お料理を誰かに教わったんですか？｣
｢んーやらざるを得なかったってだけですかねー｣
｢成程、自分が先生というわけですね｣
｢んふふ、そうですねぇ｣
家ではいつも1人だったし、叔父さんは家の事何もしなかった。だから生きていくために、必死で料理を覚えた。
でも、僕は。
｢料理って食べる人の顔を思い浮かべながら作ると、より楽しいですよね！｣
｢ああ、そうですね。お腹いっぱいになるまで食べて欲しい、とか。気がつくと、とんでもない量が出来てたりして｣
｢あはは！あるあるですね！｣
ここへ来て、誰かと一緒にご飯を食べることの幸せを知った。
おいしいと言ってくれることの温かさ。
僕が料理をもっと好きになれたのは、カルエゴさんのおかげだ。
｢そう想える人を、大切にしたいですね｣
｢……ですね〜｣
大切に、したい。そう思っているのは、僕だけだとしても。
｢お孫さんも、きっと喜んでくれますよ｣
｢えぇ、そう願います｣
誰かを想って作る料理は、世界一うつくしいものだと思う。
そういう相手が存在していることが、まず奇跡なのだから。
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奏(プロフ) - 本編もおまけもとっても面白かったです〜！友達以上恋人未満の関係の設定がめっちゃ良かったです！作品制作お疲れ様でした！作者様の他作品も見させていただきます〜！ (2023年2月25日 8時) (
レス) @page37 id: 89231dfe0c (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ガスカさん» コメントありがとうございます！応援のお言葉本当に嬉しいです。とても励みになります！ (2022年12月18日 20時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ガスカ - 続き楽しみにしています。頑張ってください!応援してます (2022年12月18日 18時) (レス) id: 59f6634a23 (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ルーミアさん» コメントありがとうございます！主人公の過去については、ゆっくり紐解いていきますので、気長にお楽しみいただければと思います！ (2022年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ルーミア - 昔に何があったのでしょうか気になりますね！次の更新頑張ってください！楽しみにしています (2022年12月5日 14時) (レス) @page15 id: 1c035b5819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2022年11月18日 8時
