22 お手と拝借 ページ22
特に用もない街をぶらぶら散歩していると、本屋が目に入って、つい店に入った。
ズラリと並べられた本の背表紙を目で追いながら歩く。
『魔植物のスパイス大全』
スパイスかぁ。手に取ろうとすると横から別の手が伸びてきて、思わず手を引っ込める。
「「あ」」
横を見ると、
＿＿
「料理、好きなんですか？｣
「ええ。仕事柄作らないといけませんし｣
「お料理の仕事？」
「平たく言えば執事のようなものです」
「執事…！」
あまり聞いた事のない職業に、無性に心が浮き立つ。一体どういう一日を過ごしているんだろう？
「料理の勉強までするなんて、大変そうですね…｣
「いえ、そうでもないですよ。召し上がる主人様方には、飽きないように新しい料理を出してあげたいですからね｣
「プロだ…！｣
その仕事への向き合い方…正にプロ執事だ。
「Aくんは？｣
「あ、僕はただ料理が趣味なだけです。魔界の料理って僕のせk……郷土料理と全く違っていて、食材から色々知っていきたいな〜って思って｣
「ほぅ…それは興味深いですね｣
何やら考え込んで、黙り込むオペラさん。
そして顔を上げると、淡々と言い放った。
「Aくん。その郷土料理、私に教えてくれませんか。もちろんタダでとは言いません｣
「え？｣
「この本を差し上げると言ったら？｣
「やります！｣
僕に本を買うお金はない。なので、立ち読みで済まそうと思っていた所にこんな話…断るはずがないだろ！
＊
「あの、本当に僕でいいんでしょうか…｣
「何を言うんですか。Aくんの持つレシピが、私は知りたいんですよ｣
早速オペラさんが仕える邸宅へと案内されたのだが、そこはとんでもない豪邸だった。
いや、執事を抱えるぐらいのやんごとなき身分なのはわかってたよ？だけどまさか召使いが20人くらいいてもおかしくは無いバカデカ屋敷とは思わないでしょ。
あまりの身分の違いに、ガクブルせざるを得ない。
そんな僕を見兼ねてか、オペラさんが喋りかけてくれる。
「…主人様には、お孫様が1人いるんです。その彼はこの間まで異国の地に住まわれていたのですが、今は3人でこの屋敷に住んでいます。もしAくんの味が、彼が知る昔の味に近しいものだったら、喜ばれるかも…と考えたんです｣
「そうだったんですか…！僕、頑張って教えます！｣
「はい。是非ともお願いしますね｣
にこやかに笑うオペラさんにつられ、僕も笑う。
優雅に笑う人だなあ。
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奏(プロフ) - 本編もおまけもとっても面白かったです〜！友達以上恋人未満の関係の設定がめっちゃ良かったです！作品制作お疲れ様でした！作者様の他作品も見させていただきます〜！ (2023年2月25日 8時) (
レス) @page37 id: 89231dfe0c (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ガスカさん» コメントありがとうございます！応援のお言葉本当に嬉しいです。とても励みになります！ (2022年12月18日 20時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ガスカ - 続き楽しみにしています。頑張ってください!応援してます (2022年12月18日 18時) (レス) id: 59f6634a23 (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ルーミアさん» コメントありがとうございます！主人公の過去については、ゆっくり紐解いていきますので、気長にお楽しみいただければと思います！ (2022年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ルーミア - 昔に何があったのでしょうか気になりますね！次の更新頑張ってください！楽しみにしています (2022年12月5日 14時) (レス) @page15 id: 1c035b5819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2022年11月18日 8時
