12 核心と本当 ページ12
「カルエゴくんって彼女いたの?」
「……デマだ。忘れろ」
普段から生物室に常駐して職員室にいないシチロウのために、諸々の書類を持ってきたのだがどうやら変なことを吹き込まれている。
「でもこの間職員室に行った時に聞いたけど……」
「あの野郎……ッ」
絶対に
「なんだか、その反応だと本当に違うんだね」
「あぁ、安っぽい嘘に騙されるなよ」
「でも、"彼女じゃない人"とは一緒にいるんでしょ?」
図星。シチロウは昔から嘘を見抜くだけじゃなく、核心を突くのが得意だ
「僕、嬉しいよ。カルエゴくんの理解者が増えたってことだもん。ぜひ会ってみたいなー!」
シチロウの毒気のないニコニコとした笑顔に、昔から俺は弱い。
まあ、シチロウにならいいか……
「……今夜家に来るか。お前なら、会わせてやる」
「え?!いいの?!てか一緒に住んでるの?!」
「言っとくが、絶対びっくりするなよ」
「?うん」
*
「あ、おかえりなさい今ご飯……ってあれ?」
「か、カルエゴくん、まままさか」
「Aだ。俺の……家政夫みたいなものだ」
「いや家政夫じゃないですけど?!えっとはじめまして、Aです」
玄関に現れたのは、男の子だった。歳は10代ぐらい。
あまりにも衝撃的な絵に、僕は動揺を隠しきれない。
それに、隠せてるようで隠しきれていない独特なにおい。
このにおいに、僕は覚えがあった。
……入間くんだ。土砂降りに振られて水浸しになったあの時のにおいと似ている。まさか、この子も……!
「な、え?どういうこと?どうしたのこの子?!」
「拾った」
「言い方ァ」
「拾える、の?この魔界で?」
「……俺もよく分からんが、こいつが家の前で行き倒れてたんだ。騒ぐから、仕方なく」
「いや言い方ァ!」
痴話喧嘩をしだす二人をよそに僕は放心していた。
カルエゴくんの周りには、人間が集まる因縁でもあるの?
それにカルエゴくんだって、この子が人間だっていうことは百も承知のはず。
なのにこうして一緒に住んで……厳格なカルエゴくんが本当になんで?!
「Aくん!」
「あ、え?はい」
「ちょっと僕と二人でお話してくれないかな!」
「はい?」
きっと深い事情がある。カルエゴくんが、意味も無く子供を引き取るわけが無い。それも人間の。
例え二人が浅からぬ関係だとしても僕は恐れない!
彼からきちんと話を聞くまで、今日は帰れないぞ!
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奏(プロフ) - 本編もおまけもとっても面白かったです〜!友達以上恋人未満の関係の設定がめっちゃ良かったです!作品制作お疲れ様でした!作者様の他作品も見させていただきます〜! (2023年2月25日 8時) (レス) @page37 id: 89231dfe0c (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ガスカさん» コメントありがとうございます!応援のお言葉本当に嬉しいです。とても励みになります! (2022年12月18日 20時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ガスカ - 続き楽しみにしています。頑張ってください!応援してます (2022年12月18日 18時) (レス) id: 59f6634a23 (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ルーミアさん» コメントありがとうございます!主人公の過去については、ゆっくり紐解いていきますので、気長にお楽しみいただければと思います! (2022年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ルーミア - 昔に何があったのでしょうか気になりますね!次の更新頑張ってください!楽しみにしています (2022年12月5日 14時) (レス) @page15 id: 1c035b5819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2022年11月18日 8時