紅覇side ページ3
鍛錬を終え、二人で僕の部屋に向かう。
『二人でここまで上達したんですから、もっと上までいけますよ!頑張りましょう?』
紅覇「うん。だから、僕落ち込んでなんかないし〜」
『本当にですか?…それならいいのですが…』
紅覇「うん、それでいいの」
本当は、それでよくなんかない…
僕は従者のAに負けてしまうほど弱い。
従者の僕の彼女のA。
………こんなんじゃ、Aを守れないじゃん。
Aを守れる力もないし、権力もない…
だから………。
急にあの時のことが思い出された。
そこは紅炎の部屋。
紅覇「炎兄、実は報告があるんだ」
炎兄は僕を見つめる。
紅覇「僕、Aと付き合うことになったんだ。」
炎兄は黙ったまま僕を見つめ続ける。
紅覇「僕、Aのことがほんっとーに!
大好きなんだ!!」
紅炎「そうか。」
炎兄はいつもの顔で言った。
何を考えているかよくわからない。
紅覇「それで……まだ早いと思うんだけど、いつかAと結婚……」
紅炎「無理だ。」
紅覇「!!」
そう言われるかも、とは思っていたが実際言われると心が痛む。
それも、少し期待していた僕がいたからだ。
紅炎「紅覇。お前、立場を分かっているのか?
お前はいつか他国の皇女と婚約するのだぞ。」
紅覇「それでも……!」
紅炎「無理な話だ」
『紅覇様?どうされました?お顔の色があまりよくないですけど……』
…!!
Aの声で現実に戻ってきた。
紅覇「あ……ごめん!僕、用事思い出しちゃったから先に部屋に行ってて〜」
『はい、分かりました……』
Aは少し困ったような顔をして歩いていった。
僕は向きを変え、歩き出した。
紅覇「ふぅ…」
着いたこの場所は野原。
城から少し離れた場所にある。
小さい頃はここで、よくAと遊んだなぁ。
頭の中にはにこっと笑うAの顔。
Aと結婚したい。
結婚したら一緒に出掛けたり、二人の時間を楽しんだり……
そんな妄想をしていると、急に現実に戻される。
結婚するには、楽しい時間を過ごしたいなら。
僕には力がいる。権力も必要だ。
結局は、自分が強くなければいけないのだ。
なのにAよりも弱いだなんて、
僕がAと過ごす資格なんて……
……ない。
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作者名:玉燐 | 作成日時:2016年2月7日 11時