五輪 ページ6
「てか死んだと思ってた奴が生きてたんだから皆もうちょっと感動的になってもいいじゃんかよ!!!
何いつもどおりに接してきてるわけ!?
俺の扱い!!!!!」
わあああっと泣き始めた山崎さんに驚きながらも背中を撫でてあげると、山崎さんは遂に可笑しいことを言い始めた。
「Aちゃんって……天使だったんだね」
「……え?」
「俺なんかにこんなに優しくしてくれるのはAちゃんくらいだよ……!」
「でも、皆さん山崎さんには感謝してると思いますよ?」
「え?」
「前、お兄ちゃんに聞いたんです。
「監察ってどんな仕事なの?」って。
そうしたらお兄ちゃん、
「監察はとっても大事な仕事だ。山崎が先に潜入して情報を集めてくれるおかげで、真選組は最小限の被害で済んでいる」
って言ってましたから」
「……それ、本当?」
「はい」
頷くと、山崎さんは今度は嬉しかったのかまたも泣き始めてしまった。
.
何とか山崎さんを宥めた私はそーくんの部屋に向かう。
(それにしても……山崎さんが無事に生きていてくれて、本当に良かった)
そう思いながらそーくんの部屋の前で私は声をかける。
「そーくん?入っても大丈夫?」
すると、「A?」と不思議そうな声がした後、スッと襖が開いた。
「どうした」
「えっと……この前怪我してたから……大丈夫かどうか心配になって」
素直に言うと、そーくんは「あァ」と軽く頷く。
「別にあのくらいどうってことねェよ」
「本当……?よかった……」
ほっとして目元を緩めると、そーくんが言う。
「オメェ、俺たちがいちいち怪我する度にんな心配してたら身がもたねェぜ?
何もそんなに心配することじゃねェんでィ」
「でも……それでも、やっぱり心配にはなっちゃうよ」
(大切な人たちだから)
ジッとそーくんを見つめていると、そーくんは根負けしたようにはぁ、とため息をついた。
「俺ァもう寝る」
「あ……うん、遅くにごめんね。おやすみなさい」
そう言うと、そーくんは「おー」と気の抜けた返事をしながら襖を閉めた。
.
その日の夜。
私は、夢を見ていた。
私は屯所の縁側で、隊士の方々と一緒にお喋りをしていた。
しかし。
談笑していると、隊士の方がいきなり血を吐いて倒れてしまった。
「っ……!?」
見ると、もうそこは屯所ではなく、戦場だった。
ついこの前経験した、あの場所。
伊藤さんを看取った場所。
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赤羽@美羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2020年3月13日 9時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ面白いです!さっそくお気に入り登録しちゃいました!更新楽しみにしてます、頑張ってください! (2020年3月12日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年9月11日 7時