二十二輪 ページ33
「そうかィ？無理してねェか？」
「うん、本当に大丈夫だよ」
もう一度そーくんの目を見て言うと、未だ納得していないような目をしながらもそーくんは身を引いた。
「朝飯の準備できてっから。
早く着替えて来いよ」
「え……もしかして、そーくんが作ってくれたの？」
予想外の出来事に目を見開くと、そーくんは何でもないことのように頷いた。
「おぉ。……上手いかどうかは保証しかねるがねィ」
(……そーくんの、手料理)
私は少しワクワクした気持ちで頷きを返した。
.
そーくんが作ってくれた料理だということで、ワクワクしながらさっと着替えを済ませた私はいつも食事をしているちゃぶ台の前に座る。
ちゃぶ台の上には既に料理が並べてあった。
お味噌汁からは湯気が立ち上り、アジの開きはいい具合に焼き跡がついていた。
(……もしかして、私より上手なんじゃないかな)
そんなことを考えて自分の料理を不安に思っていると、目の前に座ったそーくんが訝しげに眉を寄せた。
「……A？どうしたんでィ」
「あ……何でもないよ。
ごめんね、少しぼうっとしてたみたい。
……食べても、いい？」
そーくんの声に顔を上げ、私はそーくんに問いかける。
そーくんは私の言葉に「どーぞ」と呟くと、自分も手を合わせてから食べ始める。
(……うん。やっぱり美味しい)
前々から思っていたけれど、そーくんは相当器用なんだと思う。
小さい頃から大抵のことは軽々こなしてみせてたし……。
凄いなぁ、と思って見ていたら、バチリとそーくんと視線が合った。
「……何でィ」
「え、あ、ううん！何でもないよ。
それにしても、そーくん凄いね。
全部とっても美味しい」
「……そうか。
そりゃどうも……？」
何で返せばいいのか迷っている様子のそーくんに、思わず私はクスリと笑みを溢してしまった。
.
どうやらその目的の場所へは夕方から行くそうで、私はそれまで時間を持て余していた。
(う〜ん……どうしようかな)
何かすることがないかと家の中をぐるりと見回すと、そーくんの驚いたような声が聞こえた気がした。
「そーくん？どうしたの？」
そーくんの声が聞こえた方……縁側に行って見ると、そーくんは屈み込んで何かを抱え上げていた。
「……そーくん？」
もう一度呼びかけて振り返ったそーくんの腕の中を見て、私は思わず声を上げた。
「え……猫？」
そーくんの腕の中には白猫がいた。
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赤羽@美羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！これからもよろしくお願いします♪ (2020年3月13日 9時) (
レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ面白いです！さっそくお気に入り登録しちゃいました！更新楽しみにしてます、頑張ってください！ (2020年3月12日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤羽@美羽 | 作成日時：2019年9月11日 7時
