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十二輪 ページ13

新八さんは慌てて手を振り、言った。

「でも、良かったです。
Aさんが元気になって」


すると、坂田さんも続けて言う。

「ま、そうだな。
健康なのが一番だ」

「そうアル!」

うんうん、と頷いてくれた神楽ちゃんに頷き、私は立ち上がる。



「それじゃあ、私はこれで失礼しますね」

「あれ?もう帰っちゃうんですか?」

もうちょっとゆっくりしていけばいいのに……、と新八さんは言ってくれたけれど、私は首を振って答える。


「そろそろ、屯所のお昼ご飯の時間なんです。
だから、帰らないと」

ただで住まわせて貰っているのだから、時間くらい厳守したい。

「そうアルか……残念アル……」

神楽ちゃんは私の言葉に残念そうに少し俯くと、すぐに顔を上げて言った。

「A、また今度遊ぼうヨ!
姉御達と女子会するアル!」

(女子会……)

その響きに顔を綻ばせて、私は笑顔で頷いた。









万事屋から屯所までの帰り道。

(“ただで”、か……)

私は、さっき自分で思ったことを反芻する。

(いつまでも、ただで住まわせて貰うのは申し訳ないし……)


お兄ちゃん達は気にしなくていいと言っていたけれど、やっぱり何もせずにおいて貰うのは気がひける。


(何か、ないかな……)

私でも、できるようなこと。



暫し黙考して、私はハッと思いつく。

(お料理くらいなら、私にもできる)

屯所の食堂で働いていた方達を思い出す。

あんなに沢山の隊士の方のご飯を作るのは、あの人数では大変なはず。

私なら、少しだけだけれど料理の心得があるから、きっと役に立てると思った。


(今度、お兄ちゃんにお料理のお手伝いをしたいって言ってみよう)

そう考えながら、お腹が空いてきた私は、急いで屯所への道を歩いた。









屯所の食堂に着くと、もう既にたくさんの隊士の方が食べ始めていた。


私は慌ててカウンターまで行きお盆を受け取ると、座る場所を探し始めた。



暫く食堂の中をウロウロしていると、「A」と声がかかり、振り返る。

「そーくん」

そこにはそーくんがいて、私を座ったまま見上げていた。

「座る場所ねェのかィ」

「うん……今探してて」

そういうと、そーくんは「じゃあここ座りな」と言い、そーくんの右隣の席を指し示す。

なるほど、そこは丁度空いている。


「ありがとう」と腰をかけ、手を合わせる。

「いただきます」


今日の昼食はカレーだった(さっきカウンターで辛口を頼んだ)。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» いつも読んでくださりありがとうございます!そういうことを言っていただけると、とても嬉しいです!創作意欲につながります!更新頑張ります! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - お久しぶりです!更新ありがとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。土方さんと一緒にいる主人公ちゃんを見て怒る沖田さん。主人公ちゃんに優しい沖田さん好きなのでこれからも楽しみです! (2019年6月19日 19時) (レス) id: 98522d48ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年3月28日 16時

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