六輪 ページ8
「……っ!」
そんな風に思ってくれていたなんて、露ほども知らなかった。
私がミツバ姉の言葉に喜んで頰を染めていると……
ドゴオオオオオオオオン!!!
という大きな爆発音と共に、「うわあああああ!!!」という悲鳴を上げた隊士の人々が十名程襖の方から飛ばされて来た。
「!?!?」
私は驚いているのに、
「まぁ、相変わらず賑やかですね」
という、何とも危機感のないミツバ姉の言葉に、私は思わずツッコむ。
「いや、これ、『賑やか』ってレベルじゃ……」
そんな中、お兄ちゃんが襖の方に声をかける。
「おぉ、総悟!やっと来たか!」
「え」
そーくん?
私が見ていると、やがて煙の中から、隊士の首元を掴み刀を当てているそーくんが現れた。
……何やってるのそーくん!?
一瞬理解することを放棄した己の頭をフル回転させて、今目の前で起きていることを理解したけれど。
最初の感想がこれだった。
そんなそーくんを見て、ミツバ姉が一言
「そーちゃんダメよ、お友達に乱暴しちゃ。
メッ!」
と言えば。
「ごめんなさい、お姉ちゃん!!!」
「ええええええええ!!!」
……こうなるよね。
お兄ちゃんは笑って言った。
「相変わらずミツバ殿には頭が上がらんようだな、総悟!」
相変わらずだなぁ……と見ていれば、ミツバ姉は近寄ってきたそーくんの頭を撫で始めた。
「お久しぶりでござんす、姉上。
遠路遥々、江戸までご足労ご苦労様でした」
相変わらずのシスコンぶりを発揮しているそーくんには、苦笑をこぼすしかない。
顔を上げたそーくんは私に気づいたようで。
「あり?A?」
「……久しぶり、そーくん」
そーくんは、何も変わっていなかった。
サラサラの亜麻色の髪。
紅い大きな瞳。
強いて言えば、声が低くなったかもしれない。
それでも、十にぃやお兄ちゃんに比べたら高いけれども。
「Aも来てたんで?」
あぁ、でも、喋り方は変わったかもしれない。
ふと寂しさを感じながら私は返す。
「うん、ミツバ姉の付き添いで」
「へェ」
そう言ってそーくんは暫く私を見つめていたけれど、立ち上がったお兄ちゃんの言葉でそーくんは我に帰ったらしい。
「総悟、今日は休んでいいぞ。
折角いらっしゃったんだ。
ミツバ殿に江戸の町でも案内してやれ」
その言葉にそーくんの顔はパアッと輝き、
「ありがとうございます!」
と、普段のそーくんからは考えられないほど丁寧なお辞儀をした。
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あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時