【銀魂】リコリスの花束を君に【沖田総悟】

五輪 ページ7

私が呼ぶと、お兄ちゃんは驚いたようにこちらを振り返り、驚いた顔をした。



「Aちゃん、ミツバ殿！？」

「お久し振りですね、近藤さん」


ミツバ姉はお兄ちゃんに微笑みながら挨拶をする。


「いきなりどうして……」

そう言ったお兄ちゃんは、その後ハッとし、

「取り敢えず中へ！」

と、私達を屯所へと招き入れてくれた。









女性が珍しいのか、少々の好奇の視線を受け止めながら、私達は座敷へと通された。



「それで？いきなりどうしたんです？」


お茶を出してくれた隊士の方に挨拶をしてから、ミツバ姉は結婚が決まったことをお兄ちゃんに報告した。


「いやぁ、そうかそうか！それは目出度い！

式には是非、真選組総出で出席させて貰うよ」


「でも正直、結婚なんてもう諦めていたのよ？

こんな身体だし、こんなおばさんだし。
誰も貰ってくれないって。

感謝しなきゃね」



それを聞いて、また胸の何処か片隅がズキリと痛む。

やっぱり、ミツバ姉の結婚の足枷になっていたのは、私だったのかもしれないと。



「いやいや！
ミツバ殿は、昔と何も変わらんよ。

綺麗でお淑やかで賢くて。

総悟もよく話していたぞ。
『自慢の姉だ』って」


「もう、近藤さんったら。
煽てても何にも出ないわよ」



そんなことを言いながらミツバ姉は笑っているけれど、お兄ちゃんの言っていることはもっともだと思う。

ミツバ姉は、出会った時からずっと綺麗で、優しくて。
私の憧れだから。



そのまま談笑を続けていると、段々と私へと話の中心が移っていく。


「いやぁ、それにしても、Aちゃんも大きくなったなぁ！」

「……そうかな？」


首をかしげる私に、お兄ちゃんは続けて言う。


「俺たちが江戸へ出てきたのが4年前だから……Aちゃんは14歳か！

大きくなった大きくなった！」


そう頷きながら言ったお兄ちゃんは、

「こうやってAちゃんも大人になっていくんだなぁ……」

と泣き始める。


「な、泣かないでよお兄ちゃん……！」

「だって、だって、あーんなに小さかったAちゃんが……」


そう言って、お兄ちゃんは私が５つか６つの時の身長を示す。


「でも、本当に助かっているのよ。

最近は、家事をAちゃんがほぼ全部やってくれて。

私、お嫁に行くのにこのままでいいのかな？って思ってしまうくらい」


そう言って、ミツバ姉は私の頭を撫でて言ってくれた。






「私の、自慢の妹なのよ」

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