【銀魂】リコリスの花束を君に【沖田総悟】

四十五輪 ページ47

Aちゃんへ


いきなりのお手紙で驚いたでしょう？ごめんね。
でもね、私、自分がもう少しで死ぬってこと、分かってしまったの。不思議ね。お医者様に言われなくても、総ちゃん達が何も言ってくれなくても、自分の死期って、分かっちゃうの。こんなこと総ちゃんに言ったら、怒られちゃうかもしれないわね。
でもね。だからこそここに、Aちゃんとの思い出を記します。長くなっちゃうかもしれないけれど、心を広くして読んでね。

Aちゃんと初めて会った時、私、素直に「とっても可愛い子だな」って思ったの。本当よ。
でもね、身体が弱いって近藤さんからきいて、少し心配だったの。
でも、私と一緒に総ちゃん達への差し入れを作ったりしてくれたこと、本当に嬉しかった。私、誰かと料理する経験なんてなかったから。だから、本当に楽しかった。

総ちゃんたちが近藤さんについて江戸に上京してしまう、っていう時にも、Aちゃんが側にいてくれたこと、本当に嬉しかった。もしAちゃんがいなかったら、私、寂しさでどうかしてしまったかもしれない。
総ちゃん達が行ってしまった日のこと、覚えてる？Aちゃん、泣くのをこらえてる私に、「泣いていいよ」って言ってくれたのよ。だから私、素直に泣くことができた。ありがとう。

武州でずっと一緒にいてくれてありがとう。Aちゃんとの2人暮らし、本当に楽しかったわ。2人で買い物に出かけたり、近所の方とお喋りしたり……。何もない場所だったけれど、私はあそこが大好きよ。沢山の思い出が詰まっているもの。Aちゃんもそうでいてくれたら嬉しい。


結婚のこと、1人で勝手に決めちゃってごめんね。早く結婚して、総ちゃんやAちゃんを安心させてあげたかったの。結局、心配かけちゃったけど……。
十四郎さんのことも、Aちゃんは気づいていたのでしょう……？でも、何も言わなかったわね。ありがとう。もしAちゃんに何か言われていたら、私、きっと結婚の意思が鈍ってしまったと思うから。何も言わないでいてくれて、ありがとう。


最後に。これは口頭で伝えたいけど、もし伝えられなかった時のためにここに書いておきます。
私、幸せだった。Aちゃんみたいな優しくて可愛い妹ができて。とっても、とっても、幸せだった。

もしかしたらAちゃんは、自分のせいで私が婚期を逃したのかもしれない、と思っているかもしれないけれど、そんなことないわ。

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