【銀魂】リコリスの花束を君に【沖田総悟】

四十六輪 ページ48

“私が”十四郎さんを待っていたかったの。だから、これは私の我儘よ。絶対に、Aちゃんのせいじゃない。だって私、このまま結婚せずにAちゃんとずっと2人で暮らすのでもいいと思っていたのよ？いつかAちゃんが結婚したら、旦那さんと3人で……って。本当に本当よ？だから、気に病むことなんて何もないの。

これが、本当に最後の最後です。私からAちゃんに二つお願いがあるの。
一つ目。幸せになって。幸せになって下さい。優しいAちゃんのことだから、私が結婚していないのに自分が結婚しても、幸せになっていいのかなって思っちゃうかもしれないけれど。私の為に、幸せになって。大事な妹だからこそ、こう思うの。誰かAちゃんにとって最高の人を見つけてね。もし結婚が決まったら、私のところに一番に報告に来てくれると嬉しい。待ってるわ。
二つ目。自分の道を貫いてね。誰に何と言われようと、自分が正しいと思う道を進んでください。女の子だって、やるときにはやるし、譲れないものもあるでしょう？自分の足で踏ん張って、正しいと思う道を歩き続けて下さい。大丈夫。もし間違ったら、近藤さん達が全力で正に来てくれるわ。あの人たちは、そういう人たちだから。



私は、本当に幸せだった。
貴女みたいな素敵な妹を持てて。
貴女と一緒に暮らすことができて。

Aちゃんに、抱えきれないほどの幸せが訪れますように。ずっとずっと、願っています。


ミツバ
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「っ、ぁっ……！」

ポタ、ポタと畳に雫が染み込み、染みを作っていく。

ミツバ姉の手紙は、優しい字で優しい言葉が紡がれていた。
思わず、ミツバ姉の優しい文字を指先でなぞる。


(ミツバ姉は……一体どこまで優しいんだろう)

私と一緒に暮らせて、幸せだと言ってくれた。
幸せになって、と言ってくれた。


それから。

(私の考えることも、全部見透かされてた)

「流石ミツバ姉」としか言いようがないほど、私の考えはミツバ姉に見抜かれていた。


ミツバ姉は私のせいもあり婚期を逃してしまったのだから、私が幸せになる資格はないと思っていた。

だけど、あそこまで明確な理由を出されてそれを否定され、さらに「幸せになって」とお願いされてしまったら、幸せになりたくなってしまう。



(たしかに、前に進む勇気、貰えた)


私は暫く、ミツバ姉の優しい言葉の数々を見つめていた。

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