【銀魂】リコリスの花束を君に【沖田総悟】

四十三輪 ページ45

私は、ミツバ姉の埋葬のために一度武州に帰ることになったお兄ちゃん、十にぃ、そーくんとともに私も武州に帰ってきた。

ただ、やはり、身体が空気が変わることに弱いのか、汽車の中は少し辛かった。

けれど、皆が私のことを気にかけてくれたから、そこまでではなかった。



汽車の中では、久し振りに4人だけでワイワイ過ごした。


(……あれ？)

そんな楽しい時間の中、私はふと気付く。

(何だか、十にぃとそーくん、元気になった……？)


(何だか日本語が可笑しい感じがするけれど)十にぃとそーくんの元気があるように見える。

一瞬の後、私は一つのことに思い当たる。


(……もしかして)

ミツバ姉の手紙？


坂田さんが、十にぃとそーくんにも渡したと言っていた手紙。
もしかしたら、2人はその手紙を読んで、前に進む勇気をもらったのかもしれない。
きっとそうだろう、という確信めいたものが、私の中にあった。

だって、ミツバ姉がそーくんと十にぃのこと、本当に大切に想っていたことを、私は知っているから。


(……でも、私は)
ぎゅっ、と胸元で手を握りしめ、私は窓から外の景色を見る。
大分武州に近づいたのか、山や畑などが多い。

私は結局昨日、ミツバ姉からの手紙を開けなかった。
この手紙を開けてしまったら、本当にミツバ姉との繋がりがなくなってしまう気がして。

怖かったから。

開けなかった手紙は、屯所から持ってきた荷物の中に入っている。

「開けたいけれど、開けるのが怖い、嫌だ」という矛盾した気持ちの中、私はなかなか手紙を開けられずにいたのだった。


結局開ける勇気が出ず、昨日そのまま鞄の中にしまってしまったのだった。









ミツバ姉の埋葬とお墓参り、お兄ちゃんの家への顔出しが終わり「仕事があるから」との理由で、帰るために駅へと向かう道中で、お兄ちゃんは言った。

「Aちゃん。
もしよかったらなんだが、江戸で一緒に暮らさないか？」

「……え？」

このまま3人を見送り、武州で暮らそうと考えていた私は、予想外の提案に思わず足を止める。


「だって、Aちゃんを一人で残していくの心配だし……」

「お兄ちゃん、私、18歳だよ？
大丈夫だよ」


(それに、迷惑はかけられない)

山崎さんに聞いたところによると、どうやら屯所は“女人禁制”らしい。

私は思い切りアウトではないか。


「しかしなぁ……」と引き下がってくれないお兄ちゃんを見て、十にぃはタバコの煙を吐き出しながら言った。

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