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逃げられる望みなどありはしなかった。
この足では遠くへ行くことも最早かなわない。
柴田「オラァ!!!逃げてんじゃねぇぞ!!!!」
藤田「おい、あんま傷モンにすんなよ。このツラと身体なら最終手段は売り飛ばす事だってできんだからよ。」
佐島「てか俺らで先にヤッとく?かなりの上玉じゃねえか。」
なんだか目の前がクラクラしてきた。
ろくに食べていないからだろうか。
何をされているのかもよくわからない。
今まで生きる事に躍起になっていた。
いつか自分も仕事に就いて、運命の人と出会い、華やかなウェディングドレスを着て、子宝に恵まれ、素敵な家庭を築き、幸せになれるのだと思っていた。
だが違った。
何も、楽しくなかった。
何も、幸せだと感じなかった。
父を憎んでいない。母を恨んでいない。
そんなの嘘だ。母の無茶な運転のせいで足は動かなくなり、母はいなくなった。
父が遺したのは地元で人気の隠れ家バーでも何でもない。辺鄙な酒場と、莫大な借金だ。
大好きな2人を、憎んでいる自分が、嫌いだった。
もうその事にさえ疲れた。
なぜこんなに悩まなくてはいけないのだろうか。
なぜ自分ばかりに災厄が降り注ぐのだろうか。
こんなことならいっそ。
小夜「やめろ!!!!」
小さな青い少年が、私を抱きしめた。
佐島「おい何だよこのガキ。これが噂の刀剣男士ってやつか?」
彼が髪の毛を掴まれた。
それを見ると、色々な黒い感情が吹き飛んだ気がした。
「やめて…!!!!この子には手を出さないで!!!」
藤田「だからてめぇが金返せば良い話だろうがよ!!さっさと出せオラ!!!!」
小夜を胸の中に抱きしめ、畳に伏す。
「ごめんね、ごめんね。」
小夜「Aっ!!離して!これじゃああなたが怪我しちゃ…!」
涙が溢れて止まらなかった。
身体中が痛い。せめて彼だけでも無事に……____
?「おい、人の家で何してんだてめぇら!!」
薄れゆく意識の中、最後に見たものは、ここに来た時と同じ。
白く、美しい人だった。
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オーキッド(プロフ) - 輝さん» コメントありがとうございます。もちろん乱は男ですが姉さんと呼ぶ方が乱は喜ぶという設定です。あまり気づいてくださる方がいないのでこのようなコメントは嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年7月23日 9時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - 31話で五虎退が乱を"乱姉"と呼んでいましたが乱は男なので乱兄では? (2018年7月11日 13時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - はにーまかろんさん» はにーまかろん様、いつもコメントありがとうございます。刀剣達はまだ全面的に主人公が好きという感情を表に出したくないので刀剣:不器用かつ意地悪vs主人公:気弱、な争い(?)が起こっていく感じですね。これからも宜しくお願いします。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
はにーまかろん(プロフ) - 天下五剣の冷笑は暑い夏にぴったりですね!とまあ冗談はさておき、最新話読ませていただきました。お、これは主人公ちゃんへの独占欲が出ているのか!?刀剣男士の反応の意味を1人1人想像しながら楽しく読んでいます。長文&乱文失礼致しました。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: 578cdfafe4 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - (aya*)W.H)さん» ありがとうございます。どちらのシリーズでも少し重い話が入ります。これからもよろしくお願い致します。 (2016年6月15日 7時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オーキッド | 作成日時:2016年5月26日 6時