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*乱数サイド*

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目がさめると部屋の中は暗い闇に包まれていた。




確かあの女にうどんを食べるように出され、そのあと薬を飲んでまた寝てしまった気がする。
身体は先ほどよりだいぶ楽になった。



起き上がってみると額からとさっと濡れたハンカチが落ちてきた。


カタカタと小さな音がキッチンの方から聞こえてくる。



乱数「……おねーさん?」




キッチンを覗くと小さな豆電球の明かりの下で彼女がキーボードを叩いている。




乱数「おねーさん…?」

「………………。」



もう一度声をかけたが応答はない。相当集中しているようだ。彼女のパソコンには訳がわからない文字列が永遠と並んでいる。



「……ん……?あぁ、飴村様、おはようございます。」



自分の影が画面に映りようやくこちらに気づいたようだ。


「少し楽になりましたか?」

乱数「うん、…あと一日寝てればもう大丈夫かな……。」

「そうですか…よかった。そういえば名刺をまだ渡していませんでしたね。

私、宝生Aと言います。ご依頼通り、セキュリティの穴を修復していますが少し手間取ってしまって…まだまだかかります、申し訳ございません。」

乱数「あぁ…いいよいいよ、ありがと。ケホ…明日に持ち越しでもいいよ。」


「できる限りやってみますが…もしかしたらそうなるかもしれません…。
あぁ、あと卵粥と味噌汁だけは明日の朝まで食べられるように作っておきましたのでお腹空いたら食べてくださいね。」



本当にありがたいという気持ちがあるとともに少し疑問に思う。


彼女の純粋な厚意でやってくれているのか、それとも元TDD、現シブヤディビジョン代表の自分に取り入ろうとしているのか。

一郎の紹介というのだから多分後者ではないだろうと思うがまだ油断はできない。


「私はここで作業を続けます。養生してください。」




また彼女がカタカタとキーボードを打ち出した。
おそらくカーテンを閉めたのも、電気を消したのも自分が寝られるようにという配慮だろう。



たとえ碌でもない女だとしても今はその気遣いに甘えようと乱数は再びソファへと向かった。



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*乱数サイド…end*

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(プロフ) - オーキッドさんなりのこだわりが感じられ中々定まらないのはそれだけオーキッドさんの小説への思いからだと思います。生意気な事書いてすみません。でもそれだけ大切なんだと私は思いました。感想だけで申し訳ありません (2019年5月20日 21時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こちらこそ温かいコメントありがとうございます。無理せず更新頑張って下さい。楽しみにしてます。又こちらこそよろしくお願いします。夜遅くに失礼致しました (2019年5月19日 23時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - 千さん» コメントありがとうございます、お優しい言葉かけに感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。 (2019年5月7日 15時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - この後凄く気になります。楽しみしています。無理しないでくださいね。更新楽しみに待ってます。 (2019年5月6日 23時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - 夜桜 奏さん» コメントありがとうございます。素敵なお話だなんて嬉しいお言葉、感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。 (2019年5月6日 23時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オーキッド | 作成日時:2018年12月2日 23時

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