32 ページ35
＊刀剣男士サイド＊
=========================
何人かの手入れが半ば強引に行われている時だった。
不意に女の上半身がぐらりと揺れた。
目が虚ろだ。
小夜「………？どうしたの、あの人。」
宗三「さぁ…？」
三日月「霊力の使いすぎだな。」
そういって三日月が女の側に座り肩を支えた。
三日月「………今は眠れ、主よ。」
主。
あの三日月からその言葉が出て広間の空気が一変した。
小狐丸「…おい、三日月。そやつを受け入れるつもりか。」
三日月「………まぁな。」
肯定の言葉に小狐丸が驚きを隠せずただ三日月を見つめた。
三日月「お前たちまで従おうとしなくて良い。あくまで俺の判断だ。年寄りの戯言だと思って聞き流せ。」
鶴丸「おいおい、出来るわけないだろじーさん。
……あんたは今まで俺たちの上に立って仕切ってた立場の奴だぜ？
例え戯言でもその言葉がどれほどの力を持つか分かってんのか？」
三日月「だから従わなくて良い。………俺は…もう疲れた。
それにこの女は…………他のどの人間とも違うようだ、先が読めぬ。
勿論信じているわけではない。ただ………他の本丸の刀剣のように、人を…。
人を愛してみたいのだ。」
誰かの嗚咽が漏れた。
短刀も泣いていた。
ただ人を好きになってみたかっただけなんだ。
演練の時に見る他の刀剣たちは皆幸せそうだった。
『ねぇ〜主〜今日のご飯は僕の隣に座って？？』
『ずるいよ！ちゃんとじゃんけんで決めるの！！』
『主様、そういえば庭に植えた朝顔の芽が出ていたんですよー、帰ったら見てくださいっ。』
どうしていつも自分たちは嘆いているのだろう。
あんなにもあいつらは幸せなのに。
羨ましかった。
そしていつしか人間自体を憎むようになっていた。
鶴丸「………ま、俺はその意見に賛成だがな。」
三日月「…鶴？」
鶴丸「俺はとっくに見抜いてたぜ、この人間は色んな意味で変わり者だってな！どうだ、驚いたか？
…さっき、お前の言葉を否定したのは何事にも逆の意見が必要だから言ったんだが…どうやら俺の仮の意見に賛成する奴はいないみたいだ。」
鶴丸が広間を見渡した。
まだ皆迷いはある。
でも立ち止まっていては何も変わらない。
リスクを背負ってでも変わらなくてはいけないんだ。
ずっと待ち望んだ幸せを手にするために。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 842人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真梨歌 - すみません、誤字報告？です！蛍丸の一人称が僕になっていました！蛍丸は"俺"なので訂正よろしくお願いします。とても面白いので、更新頑張ってください！ (2019年2月26日 20時) (
レス) id: 86c3faaeec (このIDを非表示/違反報告)
菜希@水松(プロフ) - オーキッドさん» よかったです!!! ありがとうございます!!! 勿論、作品名と作者名は載せます!!! (2015年12月23日 12時) (レス) id: 60c9464f5e (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - 菜希@水松さん» おお！！！いいんですか！よろしくお願いします！作品名と作者名掲載していただければ嬉しいです〜〜 (2015年12月23日 9時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
菜希@水松(プロフ) - (続き)もし嫌なら、無理は言いません。 よかったら、検討してみてください。 是非、よろしくお願いします！ (2015年12月22日 22時) (レス) id: 60c9464f5e (このIDを非表示/違反報告)
菜希@水松(プロフ) - 初めてまして、菜希です。 凄く面白いです!!私は刀剣乱舞はあまり知らないのですが、分かりやすく、そして読みやすいです!! 今度、『おすすめしたい小説』というのを作りたいと思っています。 そこで、もし宜しければ、この作品を掲載しても宜しいでしょうか……？ (2015年12月22日 22時) (レス) id: 60c9464f5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：オーキッド
| 作成日時：2015年10月14日 16時
