[刀剣乱舞]冷徹少女と黒刀[ブラック本丸]

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手入れを終えた頃には夜は完全に更けていた。



あんな小さい子に重傷を負わせてしまった。

主になるのは嫌だと責任からずっと逃れてきた。





その結果がこれだ。



ろくに戦地の情報も調べず、三日月宗近に任せっきりにしてしまった。


彼にも無駄な責任を負わせてしまったかもしれない。


あの後6人に謝り続けた。

なぜだか6人とも、驚いていた。


月は皮肉なほど美しく夜の闇に咲いていた。





三日月「A。体が冷えるぞ。」

「………放っておいてください。」




縁側に座ってぼうっとしていると三日月宗近が隣に来て座った。




三日月「先ほどから思っていたが、その手はどうした。」

「何でもないです。」

三日月「………。」



三日月宗近がぐいっとAの手を掴んだ。

手入れに追われて結局自分の手当てはしていなかった。

「いっ……。」

三日月「こんなにばっくり切れて…何をしたらこうなるのか…。」

「か……刀を掴んだだけです。」

三日月「は…？刀を掴んだ…？面白い奴だな、本当に。しかしこの傷はまずい。俺が手当てしてやろう。」



そのまま手を引かれやってきたのは三条のいる部屋だった。



石切丸「おや？どうしたんだい？」

三日月「こやつが怪我を負っているんでな。」

「いいですって、自分でやりますか

三日月「黙って俺に手当てをさせろ。」



妖艶に微笑まれ自然と口が閉じる。

今剣がAの手を見て包帯と消毒液を持ってきた。


三日月「今剣、ありがたく使わせてもらうぞ。まずは消毒だな。」

「いっ、たぁ…。」

三日月「我慢しろ。」



手際よく三日月宗近が包帯を巻いていく。




「ありがとうございます、三日月宗近様。」

三日月「いやなに、Aと同じことをしたまでだ。」

「私と同じこと…？」

三日月「怪我をしたら、それが軽かろうが重かろうが迷わず手入れをするお主のことだ。」

「当たり前のことです。」

三日月「………しかしそれを出来ない者もいるのだ。」





そういう三日月宗近の目は寂しそうに見えた。


三日月「…Aよ、我々を道具と思ったことはあるか？」

「いいえ。人の形をしているものを誰が道具と思いましょうか。」

三日月「…やはりお主は違うな、他の奴らと。何度も思ったことだがな。」



三日月宗近が小さく溜息をついた。

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