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「兵藤君以外の人はどこに行ったの?私の学校の人しかいないみたいだけど……」
周りを見ても翔真君はもちろん、私の学校の人以外の姿は認められなかった。今の時間帯だったらまだこの辺りの掃除をやっているはずなのに。
「えっとね、今期生徒会に入った渕脇さんの案内を三橋がかってでたせいで二人の仕事が出来てないから、他の人達がその仕事をしてるって感じかな」
「そうなんだ」
渕脇さんは生徒会だったのか。その事実に、胸がきゅう、と切なく鳴く。同じ学校で、生徒会に入っていて、好き同士で……本当に少女漫画のようである。
「知ってる?あの人たち付き合ってるんだって」
「つ、付き合って……」
「更級さんにはまだ刺激が強すぎた?」
にまにまと私をからかってくる兵頭君には申し訳ないが、今はそのからかいに乗る余裕はなかった。
あの人達は本当に両思いで、お似合いなカップル。恋人同士。私のはいる隙間など、本当にゼロなのだ。単位云々の話ではなく。最初からそんな隙間は存在していなかったらしい。
「あ、噂をすれば」
遠くから仲良さげに笑い合う二人がこちらに歩いてくる。やわらかくて、幸せそうで、楽しそうな二人。お似合いだ。
「今日の掃除自分の学校の子達とやるね」
いつもなら兵藤君とやっていたが、兵藤君とやるともれなくあの二人の近くでやらなければいけなくなってしまう。そんな状況に私が耐えられるわけがない。二人をなるべく見ないようにして自分の学校の子達の中に入れば、ふんわりと私を迎えてくれて、それにまた少しだけ安心した。
大丈夫。二人のことなど気にせず、目の前のゴミを集めればいい。それだけ。ただそれだけ。私ならできるから大丈夫。

✲✲

「兵藤、更級さんと何喋ってたの?」
「ん?えっと、君らが付き合ってること。二人きりになりたくて案内をかってでたんだって話。うぶで可愛いよね、彼女。付き合ってるって言ったら動きがピシって止まってたもん」
「ふーん、そうなんだ」
「興味無さそうだね。ってかなんで渕脇さんなの?更級さん綺麗だし、僕は君と更級さんがくっつくんだとばかり思ってたけど」
「そうだね、不思議だね」
三橋はにっこりと不敵な笑みを浮かべて、何も知らない兵藤を笑う。
(こいつは何も知らない。Aのことも、俺の事も、全部全部)
とろりと零れた愉悦と愛情が、ひっそりと彼の心を包み込んでいった。

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わっきー - すみません行きなりで僕のしりあいですか? (4月18日 8時) (レス) @page16 id: 8d936262b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:香綾 | 作成日時:2019年8月7日 18時

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