凛と咲くその花は (ページ3)

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「とりあえず、一ノ瀬さんは授業にね。授業の先生には言っておいてくれる？」
「……はい。あの、先生Aのことよろしくお願いします。Aまた来るからね」
「優奈、ありがと……」
失礼しました。優奈が去るのを確認して、先生は私をパイプ椅子に座らせた。
「どうしたのAさん」
「あっ、えっと、その……あの」
あぁ、まただ。
ここから出たい、出させてくれと私の気持ちは胸を必死に叩くのに、私の喉はそれ以上に苦しい気持ちに精一杯で一向に出させようとしない。出させる余裕が無い。胸も喉も全部が苦しくて悲しいのだ。
言葉を詰まらせる私を見兼ねて先生がノートを取り出した。
「大丈夫だよ。無理して今声を出す必要はないから。ノートで筆談してもいいし、それが嫌だったら録音したものを持ってきてもらってもいい。なんでも大丈夫だよ」
筆談がいいです。渡された鉛筆でそう書けば、律儀ね、なんて先生が茶化すように笑う。その笑顔と声のトーンに、騒いでいた気持ちが少しだけ和らいだ。
"先生、ずっと付き合っていた彼氏がいたんです。中学の頃からです。その人が私すごい好きなんです"
─────────
次の話に続きます。

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