【あんスタ】死にたがりヒーロー

31. ページ32

「たのもーう！！」


スバルくんがそう言って入ると、一斉にこちらを向きます。少し恥ずかしいです。
ちなみに椚先生は今席を外されているようです。




「ねえねえ、朔間先輩の弟さんかオカマさん？」


「その言い方やめてくんない…？ 俺は朔間凛月だって何回言えば分かるの」



あ、凛月くんが少し不機嫌です。今まで寝ていたのを起こしてしまったのでしょうか。彼は安眠妨害を1番嫌いますからね。衣更くんも隣で苦笑いしています。




『ナルちゃんにみかちゃん〜♪』

「あっ、Aくん！ なんかちょっと会ってないだけでも久しぶりに感じるなぁ」


『ほんまやなぁ、久しぶり〜』





少しみかちゃんの関西弁を真似てみました。なんだかみかちゃんと比べると、イントネーションが少し違う気がします。やはり標準語の人が関西弁を喋るのには無理があるのでしょうか。




僕が急に関西弁で話したので、みかちゃんやナルちゃんは少し驚いたようでしたが、すぐに笑顔になってくれます。
アイドル科の皆さんの笑顔は花が咲いたようなので僕はとても好きです。


蓮巳先輩の笑顔なんてレアものです。見れたらその日から1週間は幸せで過ごせます。





「それで、何か用事があったんでしょう？ 何かしらァ？」



…そうでした。本題をすっかり忘れるところでした。






『あの、瀬名先輩の電話番号を教えて貰ってもいいですか…？』



「あらッ、電話するの？ じゃあアタシの携帯貸すわよ？」





これはありがたいです。サプライズで言った方が反応が面白いです。真くんを呼び寄せて、電話をかけます。もちろんスピーカーはオンです。







〈なるくん？ どーしたの、今修学旅行中でしょお？〉




「い、泉さん……！」








……… “ 泉 ” さん？







『す、みません………ちょっといいですか？』




〈ずーくん？ 俺はゆうくんと話してんだけどぉ〉




そんな事より大切なことがあります。というか大問題です。絶対有り得ないと思っていたのに。……いえ、同姓同名だって有り得ます。

そちらの可能性に賭けましょう。






『あの……僕の兄、鈴原大翔ってご存知ですか？』




〈………覚えてたのぉ？〉





僕の最初の予想、大正解でした。想像していた人物像と違いすぎます。もっと優しい人だと思っていました。




……なんだか少し悔しいです。

32.→←30.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す