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10. ページ11

『駄目だったところ、ですか……』



正直なところ、思い当たる節がありません。
僕はただ、思っていることを口に出しただけなのですが。


困っていると、先輩が助け舟を出してくれます。




「…もし、じぶんの『たいせつ』なひとがしにかけてしまったら、Aは『どう』おもいますか……?」




そう言われ、小太郎が死にかけているところを想像します。


余談ですが、僕は家族全員で交通事故に巻き込まれた思い出があります。その中で、僕だけが助かったのです。
そのショックのせいなのか、僕は家族全員の記憶があまりありません。というか、家族以外の記憶もありません。


これまで積み立ててきた僕の記録が無いに等しいのです。思い出そうとしますが、記憶に霧がかかったように霞んでしまっていて、よく分かりません。

なので、死にかけているところ、と言われても家族を想像するのは少し難しいのです。





『……少し、寂しい気もしますが。それも運命なのかもしれないです』



すると、先輩は困ったように眉尻を下げます。
何か、間違えてしまったでしょうか。僕は、奏汰先輩だけに限らずその表情は、あまり好きではありません。人を虐めて喜ぶような性格ではないので。


「…その、『うんめい』を『みずから』たちきろうとしていたら、かなしくありませんか……?」



『……悲しいかも、しれません』



ぽつりと呟きます。少し気分が下がってしまいました。しかし、奏汰先輩はそんな僕を見て嬉しそうに目を細めます。何故です。
僕が落ち込んでいるのを見るのが楽しいでしょうか。



「ぼくたちも、『おなじ』ですよ」



『……同じ?』





仰っている意味がよく分かりません。
悲しい、という事なのでしょうか。何故でしょう。どこに悲しむ要素があったというのです。




「ぼくは、Aが『だいすき』です。

ぼくやちあきにとっては、『たいせつなこどもたち』のひとりです。
きっと、ちあきやてとら、しのぶにとっても、Aは『たいせつ』なひとです」




ぼくたちは、かなしんでいるんですよ……?と、奏汰先輩が寂しそうな顔をして首を傾げます。僕のことが大切、ですか。

あまり実感は湧きません。親に愛されていた記憶が無いのですから、当たり前といえば当たり前かもしれません。
そういった扱いを受けることに慣れていないのですから。


……でも、なんだかふわふわして嬉しい気持ちになります。これが愛されている、という事なのでしょうか。

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無名(プロフ) - 何年も前の作品みたいなのでお返事は返って来ないんだろうし伝わることもないのかもしれないとは思いつつも最高の話すぎてコメントを残したい。思わず涙出るほど感動しました。いいテンポで進んで読みやすかったです。最高の作品をありがとうございます。 (2023年1月3日 8時) (レス) @page47 id: 04d38e0bdf (このIDを非表示/違反報告)
咲耶(プロフ) - この話凄く好きです。感動しました! (2018年10月16日 5時) (レス) id: e18275a362 (このIDを非表示/違反報告)
早姫(プロフ) - 感動しました〜...!こう...仲間の大切さとか、友情ってこんな感じなんですかね?もしも、男主君が転生したら今度は幸せになって欲しいです〜!感動し過ぎて、涙が止まらず親に驚かれました...( ̄▽ ̄;) (2018年5月24日 17時) (レス) id: 37587c2084 (このIDを非表示/違反報告)
果凛(プロフ) - かきぴーさん» 返信が遅くなり、申し訳ありません汗 そこまで言っていただけるなんて……!ありがとうございます。目を擦ったら腫れるので、ちゃんとハンカチで押さえてくださいね。笑 (2018年3月21日 8時) (レス) id: 38593f3572 (このIDを非表示/違反報告)
かきぴー - さっきから目を開いても前がよく見えないと思ったら瞼が腫れてるだけでした。めっちゃ号泣しました!!!隊長イケメン!!好き!!好きです!!!最後は家族の元に旅立ってしまった男主でしたが、仲間の大切さがよくわかる話でした!! (2017年12月15日 22時) (レス) id: 41dff5bdb3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:果凛 | 作成日時:2017年8月30日 17時

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