一期「貴方とこのままずっと一緒に」 (ページ14)

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【番外編】本丸トップ2 ③ ページ14

主はふと、中央の二人の手に視線を移した
普段の手合わせでは木刀を使っているはずだが、今二人が持っているのは…

『し、真剣…！？』
加州「ん？…ああ、刀ね。そうね、この二人は手合わせも自分自身を使いたがるよね」
薬研「そうだな」
『そうだな、って…普通に千音がいるから危ないのですけれど…』
薬研「……それもそうだ、が…」
『…仕方ない。ちょっと私の周りだけ結界を張らせていただきますよ』
加州「木刀にするように言ってこようか？」
『大丈夫ですよ、清光。…この雰囲気に水をさしたくない』

先程とは打って変わって張り詰めた空気
どちらともなく、一期一振と乱藤四郎は自分を抜く

厚藤四郎が息を吸う音が聞こえる

厚「…手合わせ、開始！！！」

キィィィン！！！

先に動いたのは乱藤四郎
身軽に飛び上がり、真正面からの素早い一太刀
一期一振はそれを一歩も動かずに受け止める
その兄の腕を、乱の細い脚が空中で蹴り落とす
短刀とは思えない程の強い蹴りだ
しかし

一期「…はっ」
乱「！」

一期一振は腕を振り払い、弟を遠ざける
乱はバク宙をし、ふわりと床に降り立つ

一期「脚を振り回すなんて、はしたないね、乱」
乱「…いち兄、また筋トレした？」
一期「おや、最近はそんなにしていないのだけれどね」
乱「僕もトレーニングはしてたんだけどね〜…ま、いち兄相手じゃあんまり関係ないか」

言い終わらないうちに、今度は一期一振が動いた
刀を構えて、一気に距離を詰める
切っ先が乱藤四郎の眼を貫こうかという瞬間、彼は垂直に飛んだ
一期一振は弟を視線で追う
乱藤四郎は天井の梁に逆さまに張り付いた
重力で乱藤四郎の帽子が落ちる

乱「人の言うことは最後まで聞きなさいって言うくせに」
一期「すまない、少々油断しているようだったから」
乱「確かに久しぶりのいち兄との手合わせでワクワクしてるのは事実だよ」
一期「ああ、私もだよ」
乱「ほんと？嬉しいよ、いち兄♡」

頬を赤らめた乱藤四郎は重力に任せたまま兄に向かって刀を振り下ろす
一期一振は刀で刃を滑らせ受け流す、と共に弟の小さな身体に容赦なく蹴りを入れる
空中にあった小さな身体はまともに蹴りを受けて吹き飛ぶ

乱「！」

乱藤四郎はスカートが翻るのも気にせず、空中で体勢を整えて、地面に降り立ち、両の足で踏ん張る

乱「白刃戦に体術なんて！」
一期「先にしかけたのは乱だろう」
乱「僕は力が弱いんだから、手段は多い方がいいでしょ！」