変わらぬ願い ページ41
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冬夜の腕の中で横たわる少女は、真白だった。
「瓦礫から俺のこと庇って、真白が、」
いつも痛いほど真っ直ぐに相手の目を見据える灰紫を絶望に揺らしながら震える声で訴えてきた冬夜に、Aは素早く真白の首筋に手を当てる。
掌越しに、微かな体温と血流を感じた。
「まだ間に合う」
「え、」
「立って。逃げるよ」
「でも出口が...」
「来る途中に作っておいた」
だから早く。
そう言おうとしたAは、冬夜の肩が震えていることに気づいた。
「...っ」
今にも泣きそうな彼の横顔が、その震えの正体を語る。
またいなくなってしまう。
また失ってしまう。
また、家族が死んでしまう。
「後悔してるなら立て」
それは、決して大きな声ではなかった。
それでも凛としたその声は、冬夜の鼓膜のずっと奥、背負い続けた後悔と、彼自身に宿る勇気と強さに届く。
「今あるものを手放すな」
静かに、強く諭すAのその言葉に冬夜は拳を固め、力強く頷くと真白を抱き抱え立ち上がった。
「！」
刹那、Aは振り向きざまに抜刀し鮮やかな一閃を走らせる。ぼとりと切り落とされた敵脇差に、Aは炎の中を睨めつけた。
敵がいる。
「走れ!!」
その声を耳にした冬夜が弾けたように示された道へと駆け出して行く。遡行軍を警戒しながらAも続こうとし、視界の端に"それ"を捉え足を止めた。
「...」
一瞬だけ顔を歪め逡巡するが、直ぐに"それ"を拾い上げ冬夜のあとを追う。
「こっちだ!!!」
迫り来る遡行軍を切り落としながら、Aの耳は遠くで響く和泉守の声を拾った。目を向ければ炎の向こうに仲間たちの姿が見える。もう目と鼻の先に出口がある。
しかし、Aは足を止めた。
風塵が微かに舞い、潜んでいた大太刀が突っ込んでくるのが見えたからだ。
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Aは、諸事情により初期刀である山姥切の次に三日月と共に顕現された刀だった。
それ故に戦経験は豊富で、本来なら大太刀相手にも有利に戦を展開できる。
しかし今、彼女は手負いだった。
だから。
「っ！」
振り向き様に強く冬夜を押し、続けて手にしていた"それ"を彼らに向け放り投げる。
出口で待ち構えていた和泉守達のもとに冬夜達が辿り着くを見届けたAは、腹に熱が走るのを感じながら呟いた。
「生きて」
炎が膨れ上がる。
和泉守達が目にしたのは、Aの腹が真鉄に貫かれる瞬間だった。
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
