何度でも ページ40
【No side】
血飛沫が跳ねる。
炎が踊る。
血の匂いと炎の熱さで息が詰まる戦場の中、堀川達は容赦無く襲い掛かる敵を倒しその次の敵が現れるまでの一息の間、赤と黒の世界に映えるその白を追いかけた。
「待てA!!」
荒々しく敵を切り捨て炎へ駆けるAを止めようと和泉守が叫ぶ。しかし彼の声は彼女を止めるに至らない。
仲間達の声が届かないAは、着実に燃え盛る炎へ距離を縮める。
そんな彼女が、漸く足を止めた。
紅蓮の炎に包まれた世界に轟いた、一発の銃声と共に。
「...ぁ、」
堀川が引き攣った声を漏らす。
その青の瞳に映るのは、赤い雨。
銃撃に貫かれたAの腹から、鮮血が滴り落ちた。
「A!!!」
たららを踏むAの名を叫んだ堀川は、彼女のもとへ駆け寄ろうとする。
それを遡行軍が阻んだ。
「ど、け...！」
切り捨てる。
立ちはだかる。
切り捨てる。
次から次へと湧く遡行軍とのいたちごっこに、堀川達はAとの距離を縮めることが出来ない。
そのことに堀川が舌打ちをすると同時に、彼は遡行軍越しに刀を構え直すAを見た。
「...あいつ...っ！」
腹から流れる血が、Aの足元に血溜まりを作る。しかし彼女はそれを気にもとめず、再び炎めがけて駆け出した。
そして。
「A殿!!」
蜻蛉切の叫びと共に、その白色は炎の渦へと飛び込んでいった。
「あいつ水も被らずに...！」
「......A、」
薬研の焦燥を孕んだその声とAの腹を貫いた銃撃に、堀川の脳裏に、最悪の一文字が浮かび上がる。
ぽたり、ぽたりと。
両手の隙間から大切な何かが零れ落ちる感覚を、堀川は確かに感じた。
＊
＊
＊
飛び込んだ炎の先でAの目にまず映りこんだのは、こちらめがけて宙を駆け泳ぐ遡行軍の苦無だった。
刹那、焔の中を真白き一撃が走り、苦無が砂塵と化して消える。
襲いかかる敵を蹴散らし、Aは徐々に動きが鈍くなっていく体に鞭を打ちながら燃え盛る家屋の中を進んで行った。
そして、入口からそう遠くない場所で、Aは彼らを見つけた。
「冬夜！」
蹲った少年がその声に顔を上げる。Aだと認識すると、その灰紫の瞳が大きく見開かれた。
「A、さん...？なんで、」
「冬夜、真白は...」
そこまで言って、Aは口を噤む。
紫水晶の瞳には、冬夜の腕の中で頭から血を流し横たわる、一人の少女の姿が映っていた。
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
